ノウハウ

決済賞与とは?通常の賞与との違いやメリット、デメリットについて解説

栗田 謙人
更新日:2024/03/18

会社員であれば「決算賞与」という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかし、多くの人が決算賞与と通常賞与の違いについて理解していないかもしれません。また、決算賞与がどのような条件で支給されるか、支給される側はどのような規則があるか曖昧になっているのではないでしょうか。

そこで今回は「決算賞与」について解説します。通常賞与と何が違うのか、決算賞与のメリットやデメリットについてまとめています。決算賞与についての理解を深めたい方は参考にしてください。

目次
  • 決算賞与とは
  • 決算賞与と通常の賞与との違い
    • 支給時期
    • 支給対象
    • 支給額
  • 決算賞与のメリット
    • 税金対策となる
    • 従業員のモチベーション向上が狙える
  • 決算賞与のデメリット
    • 会社の現金が減る
    • 支給されなかった場合、従業員のモチベーションが下がる
  • 決算賞与を支給する際に注意すべきポイント
    • 支給を受ける従業員全員に通知する
    • 決算期末から1か月以内に支給する
    • 事前通知の金額どおりに支給する
    • 対象となる事業年度において損金経理すること
  • 決算賞与を理解しよう
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決算賞与とは

決算賞与とは、企業がその年の業績に応じて従業員に支給する賞与のことをいいます

会社の業績が好調な年には、決算賞与として臨時ボーナスを支給し、従業員に利益を還元します。そのため、決算賞与が支給されるのは従業員に還元できるだけの利益がある年のみで、毎年支給されるとは限りません

業績に応じて支払い金額が決まるので、金額は毎年一定ではないです。業績が優れない年には、決算賞与が昨年より減額することもあります。決算賞与が支給されるかされないかは、会社によって異なると認識しておきましょう。会社によっては、業績に関係なく一切決算賞与の支給がない場合もあるので、注意してください。

決算賞与と通常の賞与との違い

決算賞与とよく混合されるのが「通常賞与」です。通常賞与とは、いわゆる「ボーナス」で多くの人に知られている存在でしょう。

次では、決算賞与と通常賞与にはどのような違いがあるか、3つの視点で解説します。決算賞与と通常賞与の違いを確認し、決算賞与への理解を深めてください。

支給時期

決算賞与と通常賞与の違いは、支払い時期です。

決算賞与の支給時期は法律で定められています。「事業年度終了の日の翌日から1か月以内」と決まっているため、決算賞与は決算後1か月以内に支給されます。多くの会社では、3月・月・12月のいずれかが決算月なので、その翌月末までに支払われるのが一般的です。ただし、決算賞与は業績によって支給されない年があるので注意しましょう。

一方、通常賞与は夏・冬の年2回支給されるのが一般的です。通常賞与は、よほど会社の業績が悪化していない限り、基本的には毎年支給されます。

支給対象

決算賞与の支給対象者は、会社ごとに定められています。一般的には、賞与支給月の前月末日に在籍していた従業員です。ただし、勤務態度に問題があったり、勤怠状況が好ましくない場合、支給されないというケースもあります。

決算賞与も通常賞与も、正社員だけでなくパートやアルバイトなどすべての従業員が支給対象に含まれます。

支給額

決算賞与の支給金額は、その年の業績に応じて決定します。そのため、平均や相場というものはありません。会社によってその年の業績や利益は異なるからです。

決算賞与の金額は、会社の利益分を社員数で割るなどして決定されます。中には、決算賞与のほうが金額が高い会社もありますが、支給される額は通常賞与より低くなるのが一般的です。

一方で、通常賞与は個人の成績に応じて金額が決定します。そのため、会社の業績や利益はほとんど影響を受けることはありません。

決算賞与のメリット

以下では、決算賞与のメリットについて解説します。決算賞与には具体的にどのようなメリットがあるのか、以下を参考に理解を深めてみましょう。

税金対策となる

会社は、事業で得た利益に応じて国に税金を納める義務があります。しかし、決算賞与を上手に活用すれば、税金を抑えることが可能です。

たとえば、税率35%で利益1,000万円の会社が200万円の決算賞与を実施した場合、税金として納める額は以下の計算式で計算できます。

  • 利益×税率=納税額

決算賞与を行わなかった場合、1,000万円×35%で350万円を税金として納める必要がありますが、決算賞与を支給すれば利益が800万円になるので、必然的に税金も減額します。例の場合だと、(1,000万円-200万円)×35%なので、税額は280万円になります。結果、70万円の節税ができるということです。

上記のように、決算賞与は節税対策になるので、利益に対して何%という形で決算賞与額を決定するのがいいでしょう。

従業員のモチベーション向上が狙える

決算賞与は、会社だけでなく働く従業員にもメリットがあります。

決算賞与を従業員に支給すれば、自分たちが働いて稼いだ利益が還元されることになります。その結果、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。従業員のモチベーションが向上すれば、業務効率の向上や生産性向上の効果も得られます。また、会社への定着率も上がり、優秀な人材を確保できるというメリットもあり、決算賞与の支給は効果的です。

決算賞与のデメリット

メリットが多いように感じる決算賞与ですが、デメリットも存在します。以下では、決算賞与のデメリットについて解説するので、メリットと比較しながら理解を深めてみましょう。

会社の現金が減る

決算賞与を支給すれば、その分会社の現金は減少します。そのため、むやみに支給はしないようにしましょう。今後の経営方針を見据えた上で金額を決定することが大切です。

決算賞与を支給して節税をしたとしても、現金が減少し資金繰りが悪くなってしまっては意味がありません。決算賞与を支給する際は、社会保険料も一緒に支払う必要があるので注意しましょう。

支給されなかった場合、従業員のモチベーションが下がる

前年度に決算賞与を支給したにも関わらず、翌年決算賞与の支給がないことは、従業員にとって良い印象を与えません。「決算賞与が支給される」と期待していた従業員のモチベーションは低下するでしょう。

また、決算賞与がなかったことに対し従業員は「会社の業績が悪い」と感じる可能性もあります。それを理由に従業員が退職するという事態は少なくありません。

決算賞与を支給することは良いことですが、支給時には支給する理由や決算賞与がどういうものなのかしっかり伝えてから支給するようにしましょう。

決算賞与を支給する際に注意すべきポイント

最後に、決算賞与を支給する際の注意ポイントについて解説します。会社の業績が良かったからといって、やみくもに従業員に決算賞与を支給しないようにしてください。

支給する際にはさまざまな注意事項があるので、あらかじめ理解してから支給を検討しましょう。

支給を受ける従業員全員に通知する

従業員は、税務調査で金額の内訳説明や証明を求められることがあります。その際に、従業員が迷うことがないように、決算賞与を支給する際は必ず事前に通知しておきましょう。

具体的には、決算賞与支給対象者に書面で通知をします。その後、決算日までに通知を受けた旨をサインで証明しておく必要があります。サインには、日付が重要になるので通知日を必ず明記するようにしましょう。

決算期末から1か月以内に支給する

決算賞与は「決算日の翌日から1か月以内の支給」が決められています。そのため、決算賞与を支給する場合は、決算日の1か月以内に対象者の銀行口座に入金をしましょう。銀行振り込みをすれば証明として残すことができます。

現金支給の場合は、支給対象者から領収書をもらう必要があります。

事前通知の金額どおりに支給する

決算賞与を支給する場合は、事前に支給対象者に通知をしますが、その際に金額も伝えます。そして、決算賞与支給期間には、事前に通知した金額と同じ額を支給してください。

仮に、事前通知額と支給額が一致していない場合は損金換算ができません。具体的には、事前に未払いを100万円計上していても、実際に支給した決算賞与が90万円だった場合、実施支給額の90万円は損金算入されます。しかし、差額の10万円は損金算入されないということです。

対象となる事業年度において損金経理すること

決算賞与は、対象の事業年度に経費計上する必要があります。

経費計上しないと、損金と認められず不利益になる可能性があるので注意しましょう。仮に、未払経費として翌期に回すことも可能ですが、税務調査で否認される恐れがあります。できる限り決算前に支払うのがオススメです。

決算後に決算賞与を支給する場合は、書面通知や銀行振り込みにするなど、税務調査が行われても問題ないように証拠を残しておきましょう。

決算賞与を理解しよう

決算賞与とは、会社の業績によって支給条件が異なります。支給される場合もあれば、支給されないこともあり、会社によってさまざまです。必ず支給されるというわけではないということや、支給時のルールをしっかりと認識しておきましょう。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。