ノウハウ

「穿った見方」は悪い意味ではない?本来の意味や使用例を解説

栗田 謙人
更新日:2024/02/06

「穿った見方と言われたが嫌みなの?」「穿った見方という言葉はビジネスシーンで使ってもいいの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。「穿った見方」は物事の本質を捉えた見方をするという意味ですが、本来の意味とは違う捉え方をしている方が多い言葉でもあります。

この記事では「穿った見方」の本来の意味や使用例を解説します。これまで何となくしか意味がわからなかった方や、間違った解釈をしていた方も、正しい意味を知り適切に使用できる参考にしてください。

目次
  • 「穿った見方」の意味
    • 「穿った見方」のよくある誤用
    • 自分の意見を述べる時は使用しない
    • 「穿った見方」の由来
  • 「穿った見方」の使用例
  • 「穿った見方」の類義語
    • 「核心を突く」
    • 「審美眼がある」
    • 「看破する」
    • 「的を射る」
  • 「穿った見方」の対義語
    • 「不見識」
    • 「見る目がない」
    • 「節穴」
  • 「穿った見方」の英語表現
  • 「穿った見方」を使用する際の注意点
  • 「穿った見方」の本来の意味を理解して、正しく使いましょう
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「穿った見方」の意味

「穿った見方」は「うがったみかた」と読み、物事の本質を捉えた見方をするという意味です

「穿った」の活用前の「穿つ」には以下の意味があります。

  • 穴を開ける、貫き通す、掘る
  • 疑ったことをする
  • 物事の本質を的確に指摘する
  • 袴や履物を身に着ける

穿つの語源は「穴を開ける」で、そこから転じて「物事を深く掘り下げ、本質を的確に捉える」という意味を持つようになった言葉です。

「あなたは穿った見方をするね」と言われて、悪い評価と感じる人もいるかもしれませんが、正しくは「本質を捉えた見方をしている」「鋭い洞察力で物事の本質を見極める見方をしている」という誉め言葉なのです。

「穿った見方」のよくある誤用

「穿った見方」は、とても誤用の多い言葉の一つです。

文化庁が平成23年に発表した「国語に関する世論調査」(※1)によると、すべての年代で本来の意味ではない「疑ってかかるような見方をする」と答えた人が約2人に1人の48.2%、本来の意味である「物事の本質を捉えた見方をする」と答えた人が26.2%と逆転した結果が出ています。

なぜ多くの人が誤用しているのでしょうか。その一つの要因として考えられるのが「穿つ」が持つ意味のひとつである「掘る」が「根掘り葉掘り詮索する」という意味で捉えられるようになったと考えられています。また「穿った」と「疑った」の音が似ていることも原因のひとつとの説もあります。

(※1)出典:文化庁「平成23年度「国語に関する世論調査」の結果の概要」

自分の意見を述べる時は使用しない

「穿った見方」を自分の意見を述べるときに使うのは適切ではありません。

たとえば「私は穿った見方をしています」と言うと、本来の意味を知っている人からは自分の洞察力を自画自賛していると捉えかねられないです。また、本来は「穿った見方をするね」と人に向けて使う誉め言葉であるため、自分の意見を述べるときに「穿った見方をすると」や「穿った見方だが」と切り出すのも間違った使い方です。

誤用が多い言葉ですが、誉め言葉であることを理解して使いましょう。

「穿った見方」の由来

「穿った見方」の由来は、語源である「穿つ」の意味から転じています。「穿つ」の意味の「穴を開ける、貫き通す、掘る」が転じて「物事を深く掘り下げる」となったと言われています。そのことから「穿った見方」は「物事を深く掘り下げ、本質を的確に見抜く」という意味を持つようになり、「真相を見抜く」「本質を捉える」という意味で使われるようになりました。

「穿った見方」の使用例

「穿った見方」は、鋭い洞察力で物事の本質を見抜くような見方をすることを言う誉め言葉です。ところが、実際には多くの人が「疑ってかかるような見方をする」という意味で間違った使い方をしている言葉でもあります。

例文

  • 独特の世界観で作られた彼女の作品は、常にあらゆるものを穿った見方で見ていることで作り上げられたと言える。
  • 素晴らしい研究結果に辿り着いたのは、穿った見方を得意とする彼の存在があったからに他ならない。
  • この論文の完成度の高さは、穿った見方をする彼にしかできない業だ。

このように、鋭い洞察力を持って物事の本質を見抜くような見方をしていることを褒めるときに使うのが正しい使い方です。

「穿った見方」の類義語

ここからは「穿った見方」の類義語について紹介します。ここで紹介する類義語は、すべて物事の本質を鋭く見抜く力を指す言葉で、直接的な賞賛の意味を持っているのが特徴的な言葉です。

「核心を突く」

「核心を突く」とは物事の本質的な部分や一番重要なところを、ピンポイントに攻めたり言及したりするという意味です。たとえば、議論をしているときに、誰かが議題の要点について触れた場合が、このシチュエーションに当てはまります。

例文

  • 今回の会議では、人員不足の要因について核心を突く議論が交わされた。
  • 彼女の指摘は、社内の問題に対して核心を突く内容だった。

「審美眼がある」

「審美眼がある」とは芸術や美の価値や美しさを見抜く力があり、他の人よりは良し悪しを判断する眼識があるという意味です。芸術に携わる職業に就いている人や、趣味を持っている人でなければあまり耳にしない言葉でしょう。

例文

  • 彼女はファッションデザイナーをしていて、鋭い審美眼を持っているため有名になったと言われています。
  • 絵画に対する審美眼を高めるには、美術館をめぐり多くの有名な作品を見て回るといいでしょう。

「看破する」

「看破する」とは「看る」と「破る」が合わさった言葉で「かんぱ」と読み、隠れていたものを見破ることを意味します。物事の本質は目で見える形で示されていない性質であることが多く、その真相や裏面を見抜くことや、人が気づかない物事を隠れていたものとして見破ることです。

例文

  • 同僚が不正をしていたことを看破するか悩んでいる。
  • 今回の試合では、対戦相手が練ってきた作戦を看破した。

「的を射る」

「的を射る」は、「まとをいる」と読み、物事の肝心な点を確実に捉えるという意味で使われます。「的」は弓を「射る」際の目標になり、弓が見事に命中する様子から、物事の核心や要点を捉えるという意味で使われるようになった言葉です。

例文

  • あの司会者のコメントは、いつも的を射ているので人気がある。
  • 今日の会議での上司の発言は、的を射ていると感心した。

「穿った見方」の対義語

「穿った見方」の対義語にはどのような言葉があるのでしょうか。対義語を知ることで、「穿った見方」の意味を理解しやすくなることもあるので、ここからは対義語についてみていきましょう。

「不見識」

「不見識」の「見識」は必要な決断を下せることや、物事を的確に判断できることを意味します。つまり「不見識」とは、しっかりとした考えがない、考えが頼りない、判断力が乏しいという意味です。不見識は人を批判するときに使われる言葉です。

例文

  • 彼の主張は納得できるものではなく、不見識と判断せざるを得ません。
  • 彼女の不見識な発言により、この分野の信憑性が疑われる結果を招いた。

「見る目がない」

「見る目がない」とは物事を的確に判断する能力や知恵がないことを意味します。「目」はその人の眼力を表し、判断力の象徴として使われています。

よく似た言葉で「目がない」がありますが、この場合は、「たまらなく好き」という意味なので混同しないようにしましょう。

例文

  • 彼は人事部なのに、人を見る目がなかったようだ
  • 管理職は部下を束ねるだけではなく、人を見る目も必要だと思う

「節穴」

「節穴」とは物事の本質を見抜けないと言う意味です。

木を板に加工する際に枝があったところの痕跡が残り、穴や隙間ができていることを節穴と言います。人の目を穴が開いた木の節穴に見立てて「ただ単に見開いているだけの目」で洞察力が無いことや、見ているのに気づかないことを表しています。

例文

  • 彼の失敗を見抜けないほど、彼の目は節穴ではない。
  • あの会社を信じて投資したとは、私の目は節穴だったと悔やんでも悔やみきれない。

「穿った見方」の英語表現

海外の企業とのやり取りがある場合、英語で「穿った見方」はどのように表現すればいいのでしょうか。

英語で「穿った見方」は「penetrating remark」と言います。「penetrating 」は「洞察力がある」や「貫通する」という意味があり、「remark」は名詞として使うと「意見」や「注目」を意味します。

例文

  • He always makes a penetrating remark.(彼はいつも穿った見方をする)

「穿った見方」を使用する際の注意点

「穿った見方」はとても誤用が多い表現で、本来の意味とは異なる解釈で捉えられる場合があるので、使用する際は注意が必要です。

本来の「本質を捉えた見方をしている」という意味ではなく、「疑ってかかるような見方をする」「斜に構えた見方」と解釈されることが多いのです。

たとえば、本質を貫いた見方をしているという意味で「私は物事を穿った見方で見るように心がけています」と言うと真意が伝わりにくい場合があります。
「私は物事の普通とは違う角度で物事を見る」や「物事の本質を洞察するように心がけている」と言う表現の方が、真意が伝わりやすいでしょう。

ビジネスシーンでは、言葉の意味の判断がし辛いため、使用は避け、誤解を招かない表現で言い換える方が無難です。

「穿った見方」の本来の意味を理解して、正しく使いましょう

「穿った見方」は全世代において、約2人に1人が間違った解釈をしています。

本来は「本質を捉えた見方」と言う人に対して使う褒め言葉で、一般に広まっている「ひねくれた見方」は誤用です。自分のことを述べるのに使うと自画自賛しているように捉えられることもあります。

ビジネスシーンではその意味の判断のし辛さから使用を控える方がいいでしょう。この記事を参考に「穿った見方」は「本質を捉えた見方」という正しい使い方をしましょう。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。