ノウハウ

レジリエンスとは?ビジネスで注目されている理由やメリット・鍛える方法を解説

栗田 謙人
更新日:2024/03/31

ビジネスの世界では予測不可能な変化や、予期せぬ障害を多々経験します。変化やトラブルを乗り越えるためには「レジリエンス」という概念が重要です。

「レジリエンス」は、逆境に直面したときに困難を乗り越え、成長の機会に変える力を指します。レジリエンスは、心理的な「回復力」や「弾力性」とも表現され、ビジネスリーダーやチームにとって不可欠な資質です。

この記事では、レジリエンスがビジネスでなぜ重要視されているのか、どのように高めていくのかについて解説します。レジリエンスを高めることで、自分自身や組織全体のパフォーマンスを新たなレベルへと引き上げることができるでしょう。

目次
  • レジリエンスとは
    • レジリエンス(resilience)の意味
    • レジリエンス(resilience)の類語
    • 「レジリエントな」と形容される人の特徴
    • レジリエントではない人の特徴
  • レジリエンスがビジネスで注目される理由・メリットは?
    • ストレス耐性が高まる
    • めまぐるしい変化にも柔軟に対応
    • 目標達成力を養う
    • 逆境においても落ち着いて対処できる
  • レジリエンスを高める方法とは
    • 自分の思考の傾向を理解する:客観力を身につける
    • 身近なロールモデルを設定する:自己効力感を高める
    • ABCDE理論の活用:感情をコントロールする
  • レジリエンスの類義語
    • メンタルヘルス
    • ストレス耐性
    • ストレスコーピング
    • ハーディネス
  • レジリエンスを高めることで生産性が向上
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レジリエンスとは

ビジネスの世界では精神的な弾力性は、変化やプレッシャーが日常茶飯事の環境で生き抜くために不可欠です。

レジリエントな人は、ストレスや挑戦に直面してもポジティブな姿勢を保ち、解決策を見いだし、成長の機会として捉えることができます。

レジリエンスの意味や類語、レジリエントな人を解説します。

レジリエンス(resilience)の意味

レジリエンスは、ストレスや逆境に直面した際に速やかに回復し、前向きな姿勢を保つ心の力のことです。もともと物理学で物質の「弾性」を表すために使われていました。現在は人の精神的な回復力を示す重要な概念として、ビジネスの世界で評価されています。レジリエントな人は困難な状況にもめげず、挑戦を乗り越えることができるため成長速度が高いと言えるでしょう。

ビジネスの現場では、さまざまなストレスやプレッシャーが存在しますが、レジリエンスが高い人は困難を乗り越え成長の機会として活用できます。

一方、社会に出たばかりの若手社員などは、ストレスへの耐性が低いことが多く、心が折れやすい傾向にあります。企業は、社員がレジリエンスを高める方法を早期に学べるよう支援することが重要です。

レジリエンス(resilience)の類語

レジリエンス以外にも、回復力やしなやかさを示す言葉には類語があります。これらの言葉も、人材育成やメンタルヘルスの取り組みにおいて重要な概念です。

Buoyancy(快活さ)は、精神的に前向きで楽観的な状態を保つ能力を表し、逆境にもめげずにポジティブな姿勢を維持することを意味します。Adaptability(適応性)は変化する環境や状況に柔軟に対応し、調整する能力のことです。

Strength(強さ)は、困難やプレッシャーに対する内面的な耐性を表す言葉で、挑戦に立ち向かうための内なる力のことを指します。Toughness(強靭性)は物理的、精神的な厳しさや耐久力を意味し、逆境に直面しても折れない心の力を示す言葉です。

レジリエンスの類語は、レジリエンスを構成する側面を浮き彫りにし、ビジネスの文脈において人々が直面する課題に対処するために必要な資質を反映しています。

「レジリエントな」と形容される人の特徴

「レジリエントな」と形容される人は、逆境を乗り越えて成長する力を持つ人物です。レジリエントな人は柔軟性が高く、困難な状況でもさまざまな角度から解決策を探ります。感情のコントロールができ、ストレスの多い状況下でも平静を保ち冷静な判断が可能です。

楽観的な視点を持ち、困難な状況にもポジティブな意味を見いだし、経験を成長の機会と捉えられます。良好な信頼関係を築く能力もレジリエントな人には見られ、困難な時には周囲と協力し、サポートを受けられるでしょう。

レジリエントな人は、問題発生時にも自分自身の行動を見つめ直し、何が改善できるかを考えることができます。事実を受け入れ失敗から学び、挑戦を続けることができるのが、レジリエントな人の大きな特徴です。

レジリエンスの高い人材は、変化や困難に強い組織を作る上で非常に重要な存在と言えます。

レジリエントではない人の特徴

レジリエントではない人は逆境に弱く、通常のパフォーマンスへの回復に時間がかかります。精神面では気持ちの切り替えが苦手です。一つの考え方に固執しやすく、感情のコントロールが難しいという特徴があります。

行動面では問題に直面すると他人との協力を避け、一人で抱え込みがちです。新しい挑戦を避け失敗を恐れる傾向にあります。

習慣面では自分のネガティブな面に焦点を当てがちで、対人緊張を感じやすいです。レジリエントではない人は、ストレスフルな状況下での効果的な対処が困難であり、逆境からの学習や成長の機会を逃す原因となります。

こうした特徴を持つ社員に対し、レジリエンスを高める支援や研修を提供することが、個人の成長だけでなく、組織全体の強化に繋がるでしょう。

レジリエンスがビジネスで注目される理由・メリットは?

ビジネス環境では予期せぬ変化や困難がつきものです。レジリエンス、つまり逆境に強い回復力を持つ従業員はストレスやプレッシャーの中でも冷静さを保ち、状況に応じた適切な行動を取れます。

レジリエンスは個人の成長のみならず、組織全体のパフォーマンス向上のためにも大切です。多くの企業がレジリエンスを重視し、従業員のレジリエンスを鍛える取り組みを強化しています。

ストレス耐性が高まる

ビジネスの世界では、さまざまなストレスや挑戦に直面するでしょう。厚生労働省の調査によると、労働者の半数以上が仕事上のストレスを抱えていると報告されています(※1)。ストレスが多い状況では、精神的な回復力や柔軟性が重要な能力です。

レジリエンスの高い人は、仕事の量や質、失敗や責任などから生じるストレスにも柔軟に対応し、迅速に立ち直ることができます。チームや組織全体の生産性と効率性も高まるため、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

また、レジリエンスは単にストレスに強いというだけではなく、逆境を乗り越えることで新たな成長の機会を見いだし、より強靭な精神力を育てることも可能です。「成長のマインドセット」とも関連が深く、失敗を恐れずにチャレンジし続ける文化を育むことにも寄与します。

レジリエンスを鍛えることで、従業員一人ひとりが生き生きと働き続けることができるようになり、企業全体としても持続可能な成長を遂げられるでしょう。

(※1)参考:厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」

めまぐるしい変化にも柔軟に対応

現代のビジネス環境は常に変化しています。技術の進歩、市場の動向、消費者のニーズ、働き方におけるパラダイムシフトなど、変化に適応し続けることは、企業にとって重要な課題です。

回復力や柔軟性は、ビジネスにおいて非常に価値のある資質と言えるでしょう。レジリエンスが高い人々は、急速な変化にも迅速かつ効果的に対応できます。

レジリエンスが高い人は変化を恐れず、それを成長と発展の機会として捉えることが可能です。レジリエンスの高い組織は、環境の変化に柔軟に対応し、逆境の中でも持続可能な成長を遂げられます。

たとえば、新しい技術の導入や市場動向の変化に迅速に対応すること、組織の構造や戦略を必要に応じて調整する能力などが、レジリエンスの高さです。

さらに、レジリエンスのある個人や組織は、未知の状況や困難な挑戦に直面したとき、より創造的で革新的な解決策を見つけ出すことができる傾向にあります。

レジリエンスは、ビジネスの成長と持続可能性に直接貢献する重要な要素です。企業は従業員のレジリエンスを高める研修プログラムや、逆境に強い文化を育てる取り組みを推進することが重要となります。

目標達成力を養う

レジリエンスがビジネスにおいて高く評価される理由の一つは、従業員が目標達成力を養うことに貢献する点です。レジリエンスのある従業員は、困難や挑戦に直面しても動じることなく、冷静にそして効果的に対処できます。

精神的な強さは、ビジネスの目標達成に不可欠な資質です。ビジネスの世界では常に新しい目標が設定され、従業員は継続的にステップアップしていくことが求められます。

レジリエンスのある従業員は、困難な状況においても、前向きな姿勢を保ち続けることができ、与えられた新しい目標に対しても積極的に取り組むことが可能です。失敗を恐れず、失敗から学び、それを次の成功へのステップとして活用することができます。

レジリエンスを高めることにより、従業員は自らを高め、自己成長を促進すると同時に、企業全体の目標達成に貢献するでしょう。レジリエンスは、個人の心理的健康だけでなく、組織の生産性や成果にも直結するため、レジリエンスの向上に向けた取り組みが重要視されています。

逆境においても落ち着いて対処できる

ビジネスの世界では予期せぬ問題やトラブルが日常的に起こり得ますが、レジリエンスが高い従業員は逆境においても冷静さを保ち、適切に対処可能です

レジリエンスが高い人は、状況の変化を素早く把握し適応することで、自分自身や周囲の人々を落ち着かせ、問題解決に導く力を持っています。

スムーズなコミュニケーションと積極的な対応で、困難な状況下でもチームを統率し、目標達成に貢献。レジリエンスの高い従業員を育成することは、組織全体の危機管理能力を向上させ、ビジネスの継続性を保つ上で非常に重要です。

レジリエンスを高める方法とは

レジリエンスを高めるには、総合的な自己理解や感情のコントロール、目標設定といった能力を含む「レジリエンス・コンピテンシー」の強化が不可欠です。

日常の小さな成功体験を積み重ねることで育まれ、挑戦する機会を提供する企業文化も大切な役割を果たします。

自己効力感を高め、逆境にも負けない強さを内面から養うことが、レジリエンスを高める鍵です。

自分の思考の傾向を理解する:客観力を身につける

レジリエンスを高める一つの重要なステップは、自分自身の思考の傾向を客観的に理解し受け入れることです。日々の出来事に対して自分がどのような感情、反応、行動を示しやすいかを観察することで、自己認識が深まります。

日報や日記をつけ、一日の終わりに自分の行動や感情を振り返ることがお勧めです。内省の習慣を通じて、自己認識を深め、臨機応変に対処法を見つけることが容易になるでしょう。

身近なロールモデルを設定する:自己効力感を高める

自己効力感とは自分自身が困難な状況を乗り越え、目標を達成できるという信念を持つことです。レジリエンスを高める上でこの自信は欠かせません。

効果的な方法の一つが、自分が目指すべき身近なロールモデルを設定し、その人の行動や考え方を観察し模倣することです。このプロセスを通じて、自分でもできるという実感が湧き、自己効力感が高まります。

実際に目標を達成する過程で遭遇する小さな成功体験は、自信をさらに強固なものにしてくれるでしょう。自分にとってのロールモデルを見つけ、その行動を取り入れることで、レジリエンスの向上に繋がります。

ABCDE理論の活用:感情をコントロールする

ABCDE理論は、感情をコントロールしレジリエンスを高めるのに有効な方法です。この理論では、出来事(A)と私たちの感情や行動(C)の間には、必ず解釈や信念(B)が存在し、これらが感情や行動に直接影響を及ぼしています。

同じ出来事に直面しても、人によって異なる反応が生まれるのは、その出来事をどのように解釈するか(B)に依存しているからです。

自分の解釈に疑問を投げかけ(D)、より建設的な新たな信念や解釈(E)に置き換えることで、ポジティブな感情や有効な行動へと導くことができます

ABCDE理論を活用することで、自己認識を高め、自分の思考や感情、行動パターンを客観的に観察しコントロールする力を養うことが可能です。

レジリエンスの類義語

レジリエンスは単に困難に直面したときに「立ち直る力」としてのみ理解されがちですが、実態はもっと深く、ビジネスの現場で特に重要視される理由があります。

レジリエンスは、不測の事態やストレスがあっても効果的に対応し、時にはそれを成長の糧に変えることができる心の柔軟性と回復力のことです。しかし、レジリエンスには類義語があり、それぞれが微妙に異なる側面を持っています。

レジリエンスの類義語を解説します。

メンタルヘルス

メンタルヘルスは心の健康状態を指し、ストレスや精神的疲労の軽減に関わります。これに対し、レジリエンスは困難やストレスに直面した際の適応力や回復力のことです。

メンタルヘルスの向上は精神疾患の予防や心理的負担の軽減に寄与し、レジリエンスの強化は個人が逆境を乗り越え、成長するための内面的な強さを育むことに繋がります。

職場では、従業員のメンタルヘルスケアとレジリエンス強化の両方が、生産性向上やポジティブな職場環境の構築に不可欠です。

ストレス耐性

ストレス耐性は、精神的ストレスにどれだけ耐え、それを適応し処理できるかを示す能力です。人によってこの耐性のレベルは異なり、耐性が高い人は大きなストレスでも乗り越えられますが、低いと少しのストレスで心が折れるでしょう。

レジリエンスとは密接に関係しており、レジリエンスが高い人は、ストレス耐性も自然と高まります。しかし、ストレス耐性がレジリエンスの一部を形成するものの、レジリエンスは困難を乗り越えて成長する力も含む総合的な能力を指します。

ビジネス環境では、ストレス耐性の高い従業員は変化や圧力の多い状況下でも効果的に機能し、レジリエンスを通じて個人の成長と組織の進化を促すことができます。

ストレスコーピング

ストレスコーピングは、ストレスが生じた際にその状況をどのように処理し、乗り越えるかに焦点を当てた対処方法です。一方レジリエンスは、困難やストレスに直面しても立ち直る能力を指し、ストレスに対する耐性や回復力を含みます。

ストレスコーピングはレジリエンスを高めるための手段の一つとして、具体的な対処法を提供します。問題を直接解決するアプローチや、感情のコントロールを学ぶことが含まれます。

コーピング戦略を通じて、個人はストレスに効果的に対処し、レジリエンスを強化することができるでしょう。

ハーディネス

ハーディネスは、ストレスのある状況下で健康な心を保つ個人の特性です。困難に遭遇してもポジティブな姿勢を維持し、ストレスへの抵抗力を持ち、精神的なタフさやストレスに対する自然な防御力と言えます。

レジリエンスは困難やストレスに遭遇した際に、その状況から回復し、適応する能力です。ハーディネスはストレスに対する耐性を表し、レジリエンスはストレスからの回復力と適応力を意味します。

ハーディネスはストレスに対する初期の対応を強化し、レジリエンスは長期的な回復と成長を促進する能力です。

レジリエンスを高めることで生産性が向上

レジリエンスとは、困難やストレスに直面しても回復し、前向きに対処できる心理的な強さです。ビジネスの世界では重要視されており、変化の激しい環境や予期せぬ課題に直面した際に、個人や組織が持続可能な成長を続けるための鍵となります。

レジリエンスを高める方法は自己認識の強化、ロールモデルの設定、ABCDE理論の活用などです。レジリエンスを高めることは、メンタルヘルスの維持、ストレス耐性の向上、逆境に対する適応力の強化に直結し、最終的には目標達成能力の向上にも寄与します。

レジリエンスを高めることは、個人だけでなく組織全体のパフォーマンスとウェルビーイングを向上させるために不可欠です。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。