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勤務社会保険労務士(勤務社労士)とは?メリット・デメリット、開業社労士との違いも解説

栗田 謙人
更新日:2023/11/08

「勤務社労士ってなに?」「社労士との違いは?」など、勤務社労士がどのような職業なのか気になっている方も多いでしょう。勤務社労士とは、社会保険労務士の中でも会社に所属して働いている方を指した言葉です。独立開業して社会保険労務士をしている方は開業社労士と呼ばれています。

本記事では、勤務社労士と開業社労士との違い・勤務社労士のメリット・デメリットなど、勤務社労士に関する内容を深掘りしていきます。記事を読んで勤務社労士を詳しく知り、転職を成功させましょう。

目次
  • 勤務社会保険労務士(勤務社労士)とは
  • 勤務社会保険労務士(勤務社労士)の仕事内容
    • 社会保険の手続き代行や顧問契約先企業の労務管理
    • コンサルティング
  • 開業社労士との違い
    • 働き方の違い
    • 年収の違い
    • キャリア形成の違い
  • 勤務社労士の活躍の場
    • 一般企業
    • 社労士事務所
  • 勤務社会保険労務士(勤務社労士)として働くメリット
    • 安定した収入を得られる
    • 社内でのキャリアアップにも有利
    • 社労士以外の業務経験もできる
    • 独立起業のための足掛かりになる
  • 勤務社労士として働くデメリット
    • 自分のしたい仕事ができない可能性もある
    • 高い収入を得ることは難しい
  • 勤務社労士になるためのステップ
    • ①社労士試験に合格する
    • ②社会保険労務士名簿の登録
    • ③社会保険労務士の求人案件に応募する
  • 企業が社労士を雇用するメリット
    • コスト削減になる
    • 労務問題への迅速な対処
    • 自社にとって適切なアドバイスをもらえる
    • 勤務社労士は社労士としての登録をすべき?
  • 勤務社労士の将来性は?
  • 社労士を目指す価値は高い
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勤務社会保険労務士(勤務社労士)とは

勤務社労士は、勤務社会保険労務士の略です。社会保険労務士は国家資格が必要であり、勤務社会保険労務士と開業社会保険労務士の2種類に分けられます。

会社に勤めていて会社から給与が支払われている場合を勤務社会保険労務士といい、独立して開業している場合が開業保険労務士です。

社会保険労務士は社会保険・労働保険などを専門としており、それらに関連する業務に幅広く関わっています。厚生労働省が関係する法律を専門にしている国家資格であるため、業務の独占が可能です。独占業務とは、社会保険労務士の資格保有者でないと行えない業務のことです。そのため社会保険労務士は企業にとって必ず必要な存在です。

また、現代では働き方改革が進められているなどの理由から、労働法に関する法改正が行われる機会が多くなっています。企業が法改正に対応するのは時間がかかるため、労働法などに詳しい社会保険労務士のアドバイスを求める企業が増加しています。

社会保険労務士は多くの企業から必要とされる存在であり、やりがいを感じられる職業です。

勤務社会保険労務士(勤務社労士)の仕事内容

勤務社労士の仕事内容は主に以下の3つに分けられます。

  • 労働法や社会保険法にもとづいて書類作成を行う
  • 労働法や社会保険法にもとづいて相談に対応する
  • 書類の提出を代わりに行う

健康保険・雇用保険・年金などの社会保険や労働保険に関する手続きのために、書類作成や書類提出の代行を行う業務があります。

行政書士と似ているため混同してしまう方も多いですが、行政書士は社会保険・労働保険に限らず事業届や開業届の提出などにも携わる職業です。行政書士は幅広い分野に対応しているため、特定の専門分野には弱い可能性があります。そのような場合に、社会保険・労働保険に関するプロフェッショナルである社会保険労務士が活躍します。

勤務社労士の仕事内容は書類の作成や提出代行だけではなく、それらに関連する相談業務も重要です。勤務社労士は従業員側や企業側からの意見や相談を聞き取り、お互いが良好な関係で働けるように間を取り持っています。

具体的には以下のような相談に対応します。

  • 会社内でのセクハラやパワハラ
  • 労働基準法に違反している勤務時間や賃金
  • 社員の退職や雇用の相談

社会保険の手続き代行や顧問契約先企業の労務管理

社会保険・労働保険の代行業務は社労士の独占業務のひとつであり、1号業務と呼ばれます。具体的には健康保険、雇用保険、厚生年金など社会保険に該当する書類を作成し、管轄する行政官庁への提出を代行する業務を指します。会保険に関するミスは社員からの信頼損失に直結する重要な業務であるため、専門職である社労士のみが行えます。

顧問契約先企業の労務管理には、帳簿書類(就業規則・労働者名簿・賃金台帳)の作成があります。帳簿作成には専門知識や経験が求められるため、保険手続き同様に社労士の独占業務とされており、これは2号業務と呼ばれます。

コンサルティング

会社にとって人は欠かせない資源であり、従業員なくして企業活動を行い会社として成長することはあり得ません。しかし同時に、人にかかわる問題は避けられないものです。そんな時に問題解決の頼りとされるのが人事労務のスペシャリストである勤務社労士です。コンサルティングは社労士の独占業務ではありませんが、社労士に期待される重要な業務として3号業務と呼ばれます。

人事や労務管理に関する業務には、専門的な法律知識やそれらの知識を生かした経験が必要とされるものが多くあります。働き方の多様化や働き方改革にともなって複雑かつ例外的なケースも非常に増加しており、経営者や担当者だけで頻繁に改正される法律を逐一理解しながら問題を解決するのは困難な場合がほとんどです。勤務社労士は人事労務のスペシャリストとしてこれらの問題をヒアリングし、解決に導きます。

開業社労士との違い

会社員として働く勤務社労士と会社に属せずに働く開業社労士ですが、執り行う実務には特筆すべき違いはありません。どちらの場合でも社労士として、社会保険・労働保険などにかかわる業務に従事することになります。

しかし業務内容以外の点では把握しておくべき違いがいくつかあります。どちらにもメリット・デメリットが存在しますので、以下を参考に自分の考えている理想の働き方とマッチするかどうかを検討してみてください。

働き方の違い

まず、実務を得るための過程が異なります。開業社労士は自分という社労士の価値を営業して仕事を獲得しに行く必要がありますが、 勤務社労士にはその必要がありません。もし営業活動があまり得意ではない場合は、会社に勤める勤務社労士になることでストレスなく働けるでしょう。ただし将来的に独立開業を視野に入れている場合は、人脈を拡げたり自分の売り込み方を会得するといった努力も必要になります。

また、勤務社労士は勤務先のスケジュールに従って働く一方、開業社労士は自分の裁量で柔軟に働くことが可能です。労働時間も決まっていないためワークライフバランスを実現しやすいというメリットがあり、時代のニーズに即していることから人気も高いです。昨今は特に女性開業社労士の人気が高まっています。

年収の違い

勤務社労士はサラリーマンとして働くことになるため、開業社会と比較すると高収入を得るのはどうしても難しくなります。高いパフォーマンスで多くの業務をこなすことで、会社への貢献度を評価されて収入がアップすることも考えられますが、あくまで「勤務先による」としか言えないのが事実です。その代わり、安定した収入が保証されるというメリットがあります。

一方で開業社労士は勤務先の規定に縛られることがないため、自らこなした仕事量に比例した収入を得ることができます。そのため勤務社労士では中々難しいような高収入を目指すことができ、年収1,000万円も夢ではありません。しかし、そのためには継続的な努力と向上心が必要不可欠です。常に新しい知識を学んで実績を積み上げ、それをアピールしなければ、顧客の信頼を勝ち取ることはできません。

社労士は独占業務を有する資格職であることから「独立しても上手くいきやすい」と言われますが、会社に守られていない以上はすべて自己責任であるということを念頭において判断するべきでしょう。

キャリア形成の違い

勤務社労士の場合は、諸手続きを中心とした一般的な社労士業務に幅広く従事することになります。会社によりますが、行うべき業務内容はある程度固定されていることが大半でしょう。

開業社労士の場合、自分が得意とする知識に特化して活躍することも可能です。保険に関する業務を専門に掲げるなど、スペシャリストである社労士の中でもさらに特定範囲のスペシャリストとして唯一無二のポジションを築くことができます。

また社労士としての専門知識と他のスキルを掛け合わせれば、より独自性のあるキャリアを構築することも可能です。 たとえば文章を書くことが得意なら、人事労務に関わる最新情報や具体的な問題事例の解決案などを平易な言葉で分かりやすく発信する「社労士ライター」として活躍することができるでしょう。人に教えることが得意であれば、社労士試験合格を目指す受験生を指導する「社労士講座講師」というキャリアもあります。

社労士という専門スキルを他のスキルとうまく掛け合わせることで、他にはない独自性のあるキャリアを切り開くことができるでしょう。

勤務社労士の活躍の場

勤務社労士の職場は主に、一般企業の労務人事部または社労士事務所になります。それぞれ違った特徴があるため、自分がどのようなキャリアプランを持っているか、どのような環境で働きたいかによって最適な選択は異なります。

一般企業

一般企業の労務部・人事部では、所属する企業の労務業務に従事します。労務の専門知識を有しているため、制度に関するアドバイスを求められることもあります。しかし特徴的なのは、人事評価の進捗管理や採用の面接などといった、実際にその制度を運用する業務も行う点です。

労務専門家としての業務だけでなく、社内の従業員満足度を向上させるための施策を考えて実行するなど、所属企業の成長のために多岐にわたる業務を経験することができます。

社労士事務所

社労士事務所では、事務所の顧客である企業に労務に関するサービスを提供します。
一般企業に所属するのとは異なり、実際の制度運用まで関わることはありません。あくまで労務業務とその周辺のコンサルティング業務に留まります。

社労士事務所では数十社の顧問契約をしている場合もありますが、事業拡大のためには新規顧客の開拓も重要な業務のひとつであり、これは一般企業の社労士にはない業務になります。

勤務社会保険労務士(勤務社労士)として働くメリット

ここまで勤務社労士の業務内容や活躍の場を紹介しました。では、実際に勤務社労士として働くことでどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここでは社労士の中でも、特に勤務社労士として働く上でのメリットを4つ紹介します。

安定した収入を得られる

いち会社員である勤務社労士には、安定した収入を得られるというメリットがあります。
会社との契約内容に沿って収入が決定され、昇給も勤務先の給与テーブルに沿って行われるため長期的な収入の見通しを付けやすく、ボーナスも他の社員と同様に支給されます。

一気に収入がアップするケースはそうそうありませんが、家庭を持っている場合や「安定した収入」を重要視している方には勤務社労士が合っているでしょう。

社内でのキャリアアップにも有利

社労士のキャリアアップというと、最終的には独立開業がゴールになると考えられがちです。しかし近年では勤務社労士をCHO(最高人事責任者)に据える企業も増えていることから、社内でのキャリアアップも同様に期待できるでしょう。

また収入や待遇・キャリアのみならず、勤務社労士は年金や労災など労務に関するあらゆる相談を社員から受ける立場にあります。会社の重要な財源のひとつである「人」に貢献することで社内における信頼も得られやすく、なによりやりがいを感じられることも大きな魅力です。

社労士以外の業務経験もできる

勤務社労士は社労士としての専門的な業務以外に、企業の人事部門としての業務全般にも関与する場合があります。企業の人事部門は新卒・中途の採用業務から社内の研修企画、労務対応や人事企画と多岐にわたる業務を行いますが、これら全てにおいて労働関係の法令を理解していることは大きなアドバンテージとなるでしょう。

また、企業に所属することで、人事部門や経営層にとどまらない様々な部門の社員や異職種の方々と業務・交流をする機会に恵まれます。これは開業社労士には無いメリットであり、会社で培った幅広い経験や人との関わりを活かしてビジネスシーンで活躍することができるでしょう。

独立起業のための足掛かりになる

全国には社労士が約4万4千人いますが(2022年3月31日時点)、そのうち開業社労士は約2万4千人と過半数であり、勤務社労士は約1万6千人とされています。このことからも社労士は独立開業することがメジャーであり、将来的に開業を目指す勤務社労士も多いのです。

しかし社労士になってすぐに開業するのは非常に困難でしょう。勤務社労士として経験を積むことで、将来的に社労士として独立開業するための足掛かりに出来るという点も勤務社労士の魅力のひとつです。

また、他の社員や社労士の働き方をそばで観て学ぶことで独立後の参考にしたり、開業後に自身を助けてくれる可能性のある人物とのコネクションを作れます。

勤務社労士として働くデメリット

勤務社労士として働くメリットは多いですが、良い点ばかりではありません。ここでは勤務社労士として働くデメリットを2点紹介します。

開業社労士の特徴と比較しながら、どの働き方が自分にとって最良であるかを考えることをおすすめします。

自分のしたい仕事ができない可能性もある

勤務社労士の場合は、諸手続きを中心とした一般的な社労士業務を行います。会社によりますが、行うべき業務内容はある程度固定されている場合が大半でしょう。自分で仕事を選べない分、自分がしたい仕事を中々できない可能性も十分にあります。

また、社労士とはいえ会社員ですので、社労士の専門知識とは関係のない業務を任せられる場合もあります。「せっかく努力して専門職である社労士になったのに」とモヤモヤした気持ちを抱えることもあるかもしれません。社労士としての業務のみに注力したい場合は、開業社労士になることを目指すべきでしょう。

高い収入を得ることは難しい

勤務社労士はサラリーマンとして働くことになるため、開業社会と比較すると高収入を得るのは難しくなります。高いパフォーマンスで多くの業務をこなすことで、会社への貢献度を評価されて収入がアップすることも考えられますが、あくまで「勤務先による」としか言えません。その点では、開業社労士のほうが高収入を得やすいといえます。

勤務社労士の平均的な年収は400万円~500万円であるのに対し、開業社労士は個人差が大きいにせよ、年収1,000万円以上も夢ではありません。安定した収入をとるか、高収入の可能性をとるかは個人次第でしょう。

勤務社労士になるためのステップ

社会保険労務士は独占業務を有する国家資格であるため、資格を取得したのちに社労士としての登録を行う必要があります。

ここでは社労士試験の受験から、実際に社労士として働きだすまでの3ステップをひとつひとつ解説します。

①社労士試験に合格する

まずは年に1度実施される社労士試験に合格する必要があります。試験は毎年8月下旬に1日のみ実施され、11月に合格発表が行われます。

受験には学歴(学科は問わない)をはじめとした多様な受験要件が設けられており、誰でも受験可能というわけではありません。自分に受験資格があるのか分からない場合は、事前に「全国社会保険労務士会連合会 試験センター」にて確認することをおすすめします。

社労士試験は「選択式」と「択一式」の2つの出題形式で構成されており、それぞれの試験で合格基準点を上回った方が合格とされます。

なお、社会保険労務士は国家資格のため難易度も非常に高いです。合格率は平均しておよそ6〜7%、合格に必要な勉強時間は700〜1000時間と言われています。膨大な試験範囲に苦労させられる受験者が多いため、スクール等も利用しつつしっかりと勉強して試験に臨みましょう。

②社会保険労務士名簿の登録

社労士試験に合格すると「社会保険労務士試験合格者」という肩書になります。しかし、社労士として登録するには2年以上の実務経験が必要です。そのため、合格時点では社会保険労務士としての登録を行うことはできません。

ただし実務経験が2年未満、あるいは実務経験が無い場合でも、「事務指定講習」を受講して修了すれば実務経験2年以上と同等の経験があると見なされます。

2年以上の実務経験を有する、または事務指定講習を修了したのちに「全国社会保険労務士会連合会」に登録できるようになり、ようやく社会保険労務士としての活動を開始できます。

③社会保険労務士の求人案件に応募する

社労士としての登録が済んだら、実際に社労士として求人案件に応募していきましょう。将来的に独立開業を目指す場合でも、初めは勤務社労士として経験を積むのが一般的です。
求人を探す際はハローワークをおすすめします。社労士事務所はその仕事柄ハローワークとやり取りする機会が多く、他の職業よりも求人を見つけやすい傾向にあります。求人サイトや転職サイトにも求人はありますが、思ったような求人に出会えない場合はハローワークも検討してみてください。

また、社労士事務所に直接アポイントメントを取ることも方法のひとつです。都道府県ごとの社労士会名簿はインターネットでアクセス可能であるため、この名簿を利用してホームページから求人情報を収集し、直接アポイントを取るという手法もあります。

企業が社労士を雇用するメリット

これまで勤務社労士として働くうえでのメリットとデメリットをご紹介しましたが、反対に会社が勤務社労士を雇うメリットとはなんでしょうか。

ここでは勤務社労士を雇用することによるメリットについて解説します。

コスト削減になる

勤務社労士を雇うことで、労働環境を整えるためのコストを低く抑えることが可能です。
外部の社労士に依頼して顧問契約を結ぶとなると、月々の顧問報酬を継続的に払い続けなければなりません。しかし勤務社労士を雇えば、顧問報酬よりも安価に社労士の独占業務を行ってもらうことができ、企業にとっては経済的だといえます。

勤務社労士に必要なコストは、通常の社員1人分の給料に社労士の資格手当を上乗せした金額程度であるため、社外の社労士と契約するよりも金銭的なコストを安く抑えられるでしょう。

労務問題への迅速な対処

時間的なコストを節約できるのも勤務社労士を雇う上での大きなメリットです。
もし外部の社労士と契約するのであれば、お互いの時間が合う日時を調節したうえでアポイントメントをとらなければなりません。特に社労士が多忙であれば、中々日程調整が進まなかったり、相談までに時間がかかる可能性も考えられます。

対して勤務社労士は企業内に在籍しているため、相談したいことがあれば迅速に対応してもらうことが可能です。企業内に社労士を有することで労務問題を抱える時間が大幅に短縮され、スムーズに解決へ進みやすいでしょう。

自社にとって適切なアドバイスをもらえる

外部の社労士に依頼して顧問契約を結ぶ場合、企業内の事情を一から説明する必要があります。時間や手間がかかることはもちろん、事情の全てを正確に説明し、間違いなく理解してもらうことは難しいでしょう。場合によっては会社と社労士の間で認識のズレが生じ、企業内の実情にそぐわない提案を受けることもあるかもしれません。

その点、普段から企業内部で働いている勤務社労士であれば、社内の労働環境に関する理解度を心配する必要はなくなります。普段から共に働いている勤務社労士であれば企業内の細かい事情も説明しやすいため、より実情に即した効果的なアドバイスを得られるでしょう。

勤務社労士は社労士としての登録をすべき?

社労士に合格した場合、社会保険労務士会への登録が認められます。この登録には入会費や年会費など、決して安いとはいえない費用が発生します。その額は都道府県によって異なりますが、初回登録で20〜30万程、加えて会費として毎年5〜10万円がかかります。これを理由に、登録するべきか悩む方も多いようです。

実はこの登録は義務ではないため、独立開業する予定がないのであれば先送りにしても問題ありません。いつまでに登録しないと失効するなどといった期限もないので、自分のタイミングで登録しましょう。

しかし登録しないことで「社労士を名乗れない(勝手に名乗った場合は罰金が発生)」「社労士会を通じた研修参加や知識のブラッシュアップを享受できない」といったデメリットもあるため、メリットとデメリットを天秤にかけた上で判断するようにしましょう。

勤務社労士の将来性は?

他の職業同様に、将来的にはAIの台頭が社労士の業務を奪っていくと考えられています。
しかし、社労士の業務全てが無くなることはありません。特に今後は3号業務であるコンサルティングの需要が大きくなると言われています。これは働き方改革などで制度の見直しが必要になったり、企業と労働者との問題が多くなっている点が主な要因です。需要の高さに反してAIによる代替も難しいため、コンサルティングに秀でた社労士は非常に将来性があると評価できるでしょう。

また、AIは過去のデータ等を参照するのは得意ですが、新たな事象への対応は不得意です。そのため最新の法改正や社会の変化に素早く対応できる社労士であれば、今後も高いニーズが見込めます。

ほかにも、ダブルライセンスを取得すれば他の社労士やAIから差別化を図ることも可能です。特に行政書士や税理士などの他の士業と掛け合わせることで、盤石な需要を獲得することができるでしょう。

社労士を目指す価値は高い

労務は企業の重要な経営資源のひとつである「人」に深く関わる業務です。会社に勤める人がいる限り、社労士の仕事が無くなることはありません。

社労士の業務には将来的にAIに代替されると考えられているものもありますが、3号業務であるコンサルティングは、専門知識や実務経験を有した社労士にしかできない業務の代表格です。昨今は労務問題がどんどん複雑化しているため、需要はますます拡大するでしょう。

社労士は工夫次第でいくらでも活躍の場がある専門職です。資格取得は決して簡単とは言えませんが、働き方も非常に幅広く、一度取得すれば長期的に活かせる魅力的な資格です。

労務に興味がある方、人事労務関連職からキャリアアップをしたい方は、ぜひ社労士を目指してみてはいかがでしょうか。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。