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円高、円安とは?メリット・デメリットや備えるべき対策について解説

栗田 謙人
更新日:2024/04/02

円高と円安の仕組みについて、今のうちに理解しておきたいと考える人は多いでしょう。円安と円高は、日本円をドルやユーロなどの外国通貨に両替する際の交換比率を表す指標です。それぞれの状況がもたらすメリットやデメリット、対策について理解すれば、個人で資産を守る対策を打てるでしょう。

この記事では、円高と円安の仕組みや覚え方、備えるべき対策について解説します。

目次
  • 円高、円安とは
    • 円高とは
    • 円安とは
  • 為替変動はなぜ起こる?
    • 物価の変動
    • 金利の影響
    • 財政状況
    • 輸出入
    • 政治的要因
  • 円高がもたらすメリット・デメリット
    • 企業における円高のメリット
    • 個人における円高のメリット
    • 企業における円高のデメリット
    • 個人における円高のデメリット
  • 円安がもたらすメリット・デメリット
    • 企業における円安のメリット
    • 個人における円安のメリット
    • 企業における円安のデメリット
    • 個人における円安のデメリット
  • 円高、円安の覚え方
  • 円高・円安に備える対策
    • 外貨預金や外貨建て資産を保有しておく
    • 長期分散投資をしておく
  • 円高と円安の仕組みを知り個人の資産を守ろう
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円高、円安とは

円高と円安とは、日本円をドルやユーロなどの外国通貨に両替する際の交換比率を表す指標であり、為替レートとも呼ばれます。円高と円安のそれぞれがどのような状況を指すのか、理解しましょう。

円高とは

円高とは、日本円の価値が外国通貨に対して相対的に上がっている状態です。たとえば、1ドル=100円から1ドル=50円に変わった場合、円高が進んでいると表現されます。円高の状況では、日本円で1ドルを買う場合、以前より少ない円で1ドルを買うことが可能です。

なお、世界中で円をほしいと思う人が多いほど、円の価値が高まり円高に転じます。

円安とは

円安とは、日本円の価値が外国通貨に対して相対的に下がっている状態です。たとえば、1ドル=100円から1ドル=200円に変わった場合、円安が進んでいると表現されます。円安の状況では、日本円で1ドルを買う場合、以前より多くの円を用意しないと1ドルを買えません。

なお、世界中で円をほしいと思う人が減るほど、円の価値が下がり円安に転じます。

為替変動はなぜ起こる?

為替レートの変動には、以下のような複数の要因が影響しています。

  • 物価の変動
  • 金利の影響
  • 財政状況
  • 輸出入
  • 政治的要因

それぞれの要因が、円高と円安をどのように進めているかを理解しましょう。

物価の変動

物価の変動は、国の通貨価値に直接影響を与える要因の一つです。物価が上昇しインフレーション状態になると、今までどおり商品やサービスの購入が難しくなるため、通貨の相対的な価値が下がります。逆に、物価が下がったデフレーション状態では、今までよりも商品やサービスの購入がしやすくなり、通貨の相対的な価値は上がるという仕組みです。

つまり、物価が安定している国と比べ、インフレ率が高い国の通貨は相対的に価値が下がります。

金利の影響

一般的に、金利が高い国の通貨の価値は上がり、低い国の通貨の価値は下がるといわれています。たとえば、預貯金を行う場合、高い利息のつく銀行にお金を預けるほうが得です。為替相場も同じように、日本円の金利が上がると高い利益を求める投資家が増えて、通貨価値が上昇します。

逆に、金利が下がると投資の魅力が落ちるため、通貨に対する需要は低下し価値も下がります。金利を操作する中央銀行の政策も、為替レートに大きな影響を与えるのです。

財政状況

国の財政状況も、円高と円安に影響を与える要因の一つです。たとえば、財政赤字が大きいと、将来的な税金の増加やインフレーションの加速が考えられます。財政状況が悪化すると、国債の購入や投資を考える人が減るため、為替レートは下落しやすくなるのです。

反対に、財政状況が健全であれば、通貨への信頼性が高まり外国の投資家からの資本を引き寄せられます。

輸出入

輸出入のバランスも、為替レートに影響を与える要因の一つです。海外への輸出が増えると、外国通貨が自国に大量に入ってくるため、国内通貨の価値が上がります。逆に、海外への輸入が増えると、国内通貨が外部へ流れ出てしまうため、自国通貨の価値が下がる可能性があるのです。

輸出を中心とした経済活動では国内通貨が強くなる傾向があり、輸入が多い場合は通貨が弱まる傾向があります。

政治的要因

政治の安定性や国の混乱なども、通貨の価値に影響をおよぼします。政権交代で国のトップが変わった際や、不人気な政策が通った際、国民の不満や不安が募るものです。政治の不確実性が高まると、投資家はその国への投資を控えるため通貨の価値が下がりやすくなります。

反対に、国民が安心するような政治を行う国には投資が増えるため、通貨の価値を高めることが可能です。政治的な要因は投資家の判断を左右するため、結果的に為替レートに影響をもたらす場合があります。

円高がもたらすメリット・デメリット

円高は、1ドル=100円から1ドル=50円に変わった場合のように、以前より少ない円でドルを買える状況をいいます。企業と個人の目線で、円高がどのような影響をもたらすのか理解しましょう。

企業における円高のメリット

円高の状態では、企業が海外から原材料や部品を輸入する場合にメリットがあります。たとえば、1ドル=100円から1ドル=50円になった場合、1ドルを得るためにかかる円が少なくて済むからです。

ガソリンや工業部品など外国から買うものが安く手に入るため、企業は商品を作るコストを下げられます。結果的に、日本で作る商品の価格も安くなり、売上を伸ばせる可能性もあるでしょう。

個人における円高のメリット

円高の状態では、海外旅行や輸入品の価格にも変化が起きるため、個人へのメリットもあります。円高では消費者が支払う円でより多くの外貨を交換でき、海外のホテルや現地での食事の価格が相対的に下がるためです。

また、外国製品や海外ブランドも円高によって価格が下がります。円高により、個人は国外のモノやサービスを手頃な価格で楽しむことが可能です。

企業における円高のデメリット

円高の状態では、輸出を行う企業がデメリットを受ける可能性が高いです。為替レートが円高に転じると、日本製品の海外での値段が相対的に高くなり、売上が減少する可能性があります。

とくに、グローバルな市場で競争している自動車や半導体部品などの製造業にとって、為替レートの変動は業績に影響を与える大きな要因です。海外での売上比率が高い企業では、会社の財務状況に悪影響をおよぼす可能性があるでしょう。

個人における円高のデメリット

円高の状態では、個人の投資や貯蓄にデメリットが生じる場合があります。円高は、外貨建ての投資や資産を円に両替する際、相対的に価値が下がってしまうためです。

したがって、外貨預金を行っている人や、海外の有名企業に投資している人は円高の影響を受けやすい場合があります。為替レートが円高に転じた場合、預金や資産管理の計画を再考する必要があるでしょう。

円安がもたらすメリット・デメリット

円安は、1ドル=100円から1ドル=200円に変わった場合のように、以前より多くの円を用意しないとドルを買えない状況をいいます。企業と個人の目線で、円安がどのような影響をもたらすのか理解しましょう。

企業における円安のメリット

円安の状況では、商品を日本から海外に輸出する企業にとってメリットがあります。為替レートが円安になると、日本製品の海外での価格が相対的に安くなり、競争力が高まるためです。

海外からの日本製品の需要が高まり輸出が促進されれば、売上アップが期待できます。とくに、自動車や鉄鋼などのグローバル市場で競争する産業にとって、円安は業績向上につながる可能性が高いでしょう。

個人における円安のメリット

円安の状況では、輸出業や観光業において競争力が高まります。円安になると海外に輸出する日本製品の価格が相対的に安くなり、需要が高まるためです。

また、外国人にとっては日本円より自国通貨の価値のほうが強い状況になるため、日本への観光客も増えます。為替レートが円安に転じると、輸出業や観光業が盛んになるのはこのためです。

企業における円安のデメリット

円安の状況では、輸入コストの上昇が企業にとってのデメリットとなります。とくに、原油や医薬品を海外から大量に輸入する企業は、コストが増大し利益率が下がるケースは少なくありません。

輸入コストが上がれば国内での製品価格にも影響が出るため、消費者の負担も増えます。国内市場での競争力が落ち、次第に企業全体の売上が下がっていくリスクがあるでしょう。

個人における円安のデメリット

円安の状況では、輸入品の価格や海外旅行のコストの上昇が個人に対するデメリットとなります。為替レートが円安に転じると他国通貨に対する円の価値が相対的に下がり、外国製品や海外での消費が高くつくようになるからです。

石油や食品などの日常生活に欠かせない品目の価格が上がると、家計に直接的に負担がかかることになります。海外旅行の場合でも現地での費用が増えるため、娯楽やレジャーの選択に影響を与える可能性があるでしょう。

円高、円安の覚え方

円安と円高を頭の中で即座にイメージするには「1ドルを円で購入するならいくら必要か?」を考えるのがオススメです。

まずは円高の場合として「昨年は1ドルを100円で購入したが、今年は70円で買えるようになった」とします。1ドルを買うために必要な円が、今年は30円お得になりました。お得になったことを、ドルに対して円が相対的に強くなったと判断します。「円が相対的に強くなった=円高」と捉えるとわかりやすいでしょう。

同じように、円安の場合として「昨年は1ドルを100円で購入したが、今年は120円払わないと買えなくなった」とします。1ドルを買うために必要な円が今年は20円高くなり、昨年よりも負担が増えました。負担が増えたことを、ドルに対して円が相対的に弱くなったと判断します。「円が相対的に弱くなった=円安」と捉えることが可能です。

以下の法則を覚えておき、より具体的に仕組みを思い出したい場合は、上記のように1ドルあたりの値段を昨年と今年で比較しながら考えましょう。

  • 昨年よりお得に買える=円高
  • 昨年より負担が増えた=円安

円高・円安に備える対策

円高と円安の状況は不定期に訪れるため、日頃からなにか対策をしておかねばと考える人は多いでしょう。資産をなるべく分散して持っておくと、リスクを最小限にとどめられる理由を理解しましょう。

外貨預金や外貨建て資産を保有しておく

円預金や国内資産を持っている人は、一部を外貨預金や外貨建て資産として保有しておくのがオススメです。資産のすべてを円で持っている場合、為替レートが円安に転じると外国通貨に対する価値が下がってしまいます。

資産の一部を外貨建てで持っていれば、円安になった場合に価値が高まるため、保有資産全体のバランスを保ちやすくなります。ただし、資産のすべてを外貨建てにすると今度は円高の際に価値が落ちるため、同時に円建てでも保有しておきましょう。資産の保有先を分散しておけば、為替レートがどのように変化してもリスクを最小限にとどめる効果があります。

長期分散投資をしておく

長期分散投資とは、投資先を複数に分けつつ時間をかけて資産を増やしていく方法です。資産運用を「円建てだけ」「株式だけ」と一つの方法に依存していると、うまくいかなかったときの影響が大きくなります。

「円建てだけでなく一部を外貨建てにしてみる」「株式だけでなく不動産も取り入れてみる」というように投資先を分散することで、運用がうまくいかなかった場合のリスクを最小限にとどめることが可能です。さらに、長期的な目線を取り入れることで、短期的な市場の波に左右されず着実に資産を増やしていけます。

円高と円安の仕組みを知り個人の資産を守ろう

円高と円安は、物価や金利などのさまざまな要因が絡み合いながら不定期に訪れます。今後の動向を完璧に予測するのは難しいものの、普段から為替レートの動向をチェックし対策を行うことは可能です。自身が持っている預金や資産を守りつつ最大限利益を増やすには、外貨建てや投資先の分散を行うことが有効となります。

円高と円安の仕組みを理解したうえで、自身の資産を守る対策を立てましょう。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。