ノウハウ

「寸志」とは?ビジネスシーンでの使用例から基本的なマナーまで解説

栗田 謙人
更新日:2024/02/06

お礼をしたい時に登場する「寸志(すんし)」。この言葉を聞いて、そもそも「寸志って何?」と疑問に思った人もいらっしゃるのではないでしょうか。 寸志とは「少しの気持ち」「わずかの厚意」という意味で、贈り物をするときには、「心ばかりの贈り物」という意味でも使います。今回は、「寸志」の意味や渡すときのマナー、言い換えの表現などを解説します。

目次
  • 「寸志」とは?
  • 「ボーナス」や「謝礼」との違い
    • 「寸志」と「ボーナス」の違い
    • 「寸志」と「謝礼」の違い
  • 「寸志」を使えるビジネスシーンと例文
    • 寸志を準備する時に使用するケース
    • 寸志を渡す時に使用するケース
    • 寸志をもらった時に使用するケース
  • 「寸志」の相場は?
  • 「寸志」に関する基本的なマナー
    • 寸志は目上の人から目下の人に渡すもの
    • 寸志の準備に関するマナー
    • 寸志を渡すタイミングに関するマナー
    • 寸志をいただいた場合のお返しに関するマナー
  • 「寸志」の言い換え表現は?
    • ①心付け
    • ②お礼
    • ③ご厚志
    • ④ご芳志
    • ⑤お心遣い
    • ⑥松の葉
  • マナーを理解して、スムーズに気持ちのやり取りを
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「寸志」とは?

「寸志」は多くの場合、お金を封筒に包み、表書きをした状態で渡されます金額自体や実際に贈るものは、それほど高くないことが一般的です。寸志の「寸」はもともと長さの単位で、転じて「ほんの少し」という意味を持ちます。また、「志」には「相手のことを思う気持ち」や「相手を慕う気持ち」という意味があるため、合わせて「相手に対するちょっとした心遣い」を示す言葉として使われています。

また、寸志は誰かに対して贈り物をするとき、贈り物を贈るほうが謙譲して使う言葉です。そのため、目下の人が目上の人に使うことは出来ないので注意が必要です。上司が部下に「寸志」を贈るのは良いのですが、逆の場合は「御礼」などを使います。

「ボーナス」や「謝礼」との違い

では、同じように金銭を贈る「ボーナス」や「謝礼」との違いはどこにあるのでしょうか。金額や使うことが可能な相手など、似た面もありつつ、それぞれ意味が異なります。違いを知って正しく使いましょう。

「寸志」と「ボーナス」の違い

まず、「寸志」と「ボーナス」の違いです。ボーナスは日頃の仕事の出来により査定され、金額が決められるものであるのに対し、寸志は働く人へ対する気持ちとして支給されています。

「ボーナス」は業績に応じて支給されることが多く、「給料の◯ヶ月分」など算出基準が明確です。金額も寸志より大きく、一般的に「夏」と「冬」の年2回、その他にも決算の前後に「決算ボーナス」などとして支払われます。

一方、「寸志」は、ボーナス基準とは別の扱いとなり、額が少なめで、「日頃の労をねぎらって、気持ちばかりの金額を支給する」という場合に支給されます。アルバイトやパートは賞与が支給されないことも多いですが、代わりにこちらを支給している場合もあります。

「寸志」と「謝礼」の違い

次に、「寸志」と「謝礼」の違いです。どちらも感謝の気持ちを表し、品物や金銭を相手に贈る際の表書きなどに使用します。ただし、「寸志」は「謝礼」に比べ、「心ばかり」、「少しばかり」というニュアンスが強く、感謝の気持ちを表す言葉ではあるもののへりくだった表現となります。

そのため、一般的に目上の人へ贈る時には使用しません。目下の人から、目上の人に対して使うことは失礼と認識されてしまいます。あくまで役職についている人が部下や後輩に対して贈るものなのです。

また、「寸志」はビジネスシーンにおいて、付き合いやマナーの一環として、新入社員や転職してきた社員の歓迎会や送別会送別会など、お礼以外のシーンで用いられることもあります。

「寸志」を使えるビジネスシーンと例文

ここでは、寸志がビジネス面で実際にどのように使われているのか、寸志を準備段階と渡す時、もらった時のパターンに分けて例文とともに紹介します。使い方として注意しておきたい点もあるので、押さえておきましょう。

寸志を準備する時に使用するケース

寸志を準備する段階では、「寸志を出す」「寸志を用意する」「寸志を渡す」などが基本の使い方です。ポイントは、寸志を渡すのは目上の人からだということ。立場が下の人から目上の人に対しては「御礼」など別の言い方を使います。

寸志を準備する際は、一般的に市販されているのし袋を使います。特に豪華なものである必要はありませんが、水引のないものを選ぶのが良いでしょう。そこに黒色の筆ペンで「寸志」と表書きします。「寸志」と印刷されたのし袋を使っても問題ありません。その下に自分の名前を書いてください。

<例文>

  • 「当社では年度末に寸志を出すことに決まりました」
  • 「送迎会に持っていく寸志の用意をしましょう」

寸志を渡す時に使用するケース

寸志を渡すときは、相手へのねぎらいの言葉や感謝の言葉とともに渡すようにします。もらう方は当然ですが「ありがとうございます」とお礼を伝えてください。

渡すタイミングに明確な決まりはありませんが、宴会等の場合は、会の始まる前に渡しておくと良いでしょう。会社などで顔が合うメンバーなら、前の日に渡しておくと安心です。また、渡す時にねぎらいの言葉を添えると、より気持ちが伝わるでしょう。

<例文>
(会社が支給するとき)
「今回の寸志はわずかではありますが、皆様への感謝のしるしです。」

(会合にて)
「幹事おつかれさま。少しだけど今日の足しにしてください」

(お礼をしたいとき)
「このたびは色々とありがとうございます」

寸志をもらった時に使用するケース

寸志をもらった後は、くださった方のお名前を関係者に披露することが通例となっています。例えば会社関係の食事会で、所属部署の部長から寸志を頂戴した場合には、食事会の幹事役が会の冒頭にて、具体的な金額には触れずに紹介します。

このとき、注意したいポイントがあります。「寸志をいただきました」というのは失礼に当たるので気をつけましょう。目上の人からいただいた寸志を紹介する際には、失礼に当たらぬよう「ご厚志(こうし)」や「お心遣い」という言葉に言い変えるのがマナーです。

<例文>
「本日は、〇〇部長よりご厚志をいただきました。ありがとうございます。」
「本日の歓迎会では、〇〇部長よりお心遣いをいただいております。誠にありがとうございます。」

「寸志」の相場は?

寸志は、「心ばかり」の金額だとしても、実際にはいくらくらいが相場になるのでしょうか。寸志として誰かに金品を渡す場合、その相場は場面によります。

まず、一般的な飲み会など会費制の宴会に参加する場合、設定された会費額よりも少し多めに包むのが基本です。例えば3,000円ならば5,000円、8,000円ならば1万円といった具合です。また、末広がりの「8」が縁起良いとされることから、会費が5,000円や6,000円の場合は、8,000円にするのも良いとされています。

会社から支給される寸志は業績によるため幅があります。ボーナスとして寸志が用意される場合は、1万円から多いところで10万円程度と言われています。結婚式やお葬式では、3,000円から1万円程度が相場です。

「寸志」に関する基本的なマナー

ここまで、寸志の意味や使用シーンについて紹介してきました。寸志は特にビジネスシーンにおいて気をつけるべきマナーがあります。ここからは、寸志を贈ったり受け取ったりする際に気をつけておきたいことを説明します。

寸志は目上の人から目下の人に渡すもの

ここまでにも触れてきましたが、まず重要なことは、寸志は本来目上の人物が目下の人物に対して贈るものである、ということです。そのため、部下が上司に「寸志」として金品を贈ることは無礼になります。

とはいっても、目下の人物が目上の人物に金品を贈ることそのものがいけないというわけではありません。そういう場面に遭遇した場合には寸志ではなく、「御礼」「ご挨拶」「松の葉」などの表現を使うようにしてください。

寸志は、どのような目的の会合なのか、どういったメンバーが参加しているのかによって、誰が用意するべきなのかが異なります。分からない場合は会の幹事や同じ役職・立場の人にどうするか相談してみるとよいでしょう。

寸志の準備に関するマナー

寸志は、どのように用意するのが良いでしょうか。ビジネスシーンにおいて、寸志をお金で渡す場合には、白い封筒に「寸志」と表書きをしてください。または、お祝い事のときに使う「花結びのし袋」や「赤棒のし袋」であれば、使っても大丈夫です。

「寸志」の表書きは、袋の上半分の中央部に濃墨の筆ペンを使って書きましょう。下半分の中央には自分の名前を記入します。筆ペンがなければ太めのサインペンでも差し支えありませんが、ボールペンは避けた方が無難です。そして、お札を表(肖像画が描かれている方)が最初に出るようにして入れ準備をします。

品物で寸志を渡す場合には、同様に、上半分に「寸志」、下半分に自分の名前を記載した熨斗(のし)をつけて渡しましょう。

寸志を渡すタイミングに関するマナー

寸志を渡すタイミングに決められたマナーは特にありません。ボーナスの代わりに出す場合は、社内で適切なタイミングを検討してください。そのほか、会合などで使うように渡す場合は、早めのタイミングが良いでしょう。

たとえば、会合の場所に着いたら挨拶とともにすぐに幹事に渡す、といった具合です。その方が忘れずに済みますし、幹事も皆に伝えたりと動きやすくなります。自分が参加しない場合は会合の前に渡しておくとスマートです。

また、お祝い事や仏事の際も、当日の顔合わせの時などに渡しましょう。「後で落ち着いたら」でも問題はありませんが、渡しそびれてタイミングを見失うと言うことのないようにしてください。

寸志をいただいた場合のお返しに関するマナー

寸志をもらったときには、基本的にはお返しは不要です。寸志には、「心ばかりの」という気持ちも込められているので、お返しをすることによって相手に気を使わせてしまうこともあるからです。お礼状やお礼の言葉で「ありがとうございます」という気持ちをしっかりと伝えましょう。

寸志をもらった相手が社内の上司や比較的距離の近い相手であれば、お礼状の代わりにお礼メールを送るのが良いです。取引先や社外の人などからもらった場合はお礼状を書くのがベター。すぐに送付できない場合に取り急ぎメールを送るのは良いですが、必ずお礼状も送りましょう。

また、どうしても菓子折りなどを用意したい場合は、寸志としてもらった金額より少ない金額のものを用意してください。

「寸志」の言い換え表現は?

「寸志」に似た意味を持つ言葉に「心付け」や「お礼」などがあります。いくつか紹介するので、用途によって贈る相手がどのような立場であるか、自身がどれくらいの気持ちで渡すのかという点を考えて、使い分けてください。

①心付け

「心付け」は「こころづけ」と読み、特別な配慮を受けた際に感謝の印として渡すものをいいます。たとえば、結婚式などの手伝いをしていただいた際などに、祝儀として渡す小額の金銭や品物です。サービスを受けたことに対して渡すので、チップのようなイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。

「心付け」と「寸志」は、どちらも自らが特別な配慮を受けた際に、感謝の気持ちを表して相手に小額の金銭や贈り物をすることです。「寸志」は「心付け」の一種であり、へりくだった意味合いをもつため、特に立場が目上である者から目下の者へ贈る際に使用されるのが特徴。つまり、「寸志」は「心付け」のひとつであり、主に立場が上にある者から渡す時に用いられる言葉といえます。

②お礼

「寸志」も「お礼」もお世話になった人などに渡すお金や贈り物のことなのですが、若干意味合いが異なります。

「お礼」とは、「感謝の気持ちを表すこと。またその言葉。感謝の気持ちを表す贈り物」という意味です。多くは目下の者が目上の者に贈るときに使います。「お礼」は、「寸志」にくらべて感謝の意味が重くなります。お世話になった度合いがより大きい場合には、「寸志」ではなく「お礼」となります。

また同じように、職場の上司に対して「ごく少ない」というのは失礼にあたるため、目上の人に対しては「寸志」ではなく「お礼」を使います。

そのため、「寸志」なのか「お礼」なのか迷った場合は「お礼」にしておけば間違いはないでしょう。

③ご厚志

「ご厚志」とは、寸志の反対に「手厚い志」という意味になります。「こんなにたくさんいただいてありがとうございました」という意味で使います。寸志をいただいたときに、幹事が参加者に紹介するのがマナーであること、その場で「寸志」という言葉を使ってはいけないことは解説しました。寸志の寸は「少しばかり」という意味ですから、大変失礼なことになってしまいます。歓迎会などで「寸志」を頂いたときには必ず参加している皆さんに披露してください。

このとき、寸志の代わりに「ご厚志」または「お志」などを用いて、「この度○○部長からお志をいただきました。ありがとうございます。」「○○部長からご厚志を賜りました。」などと紹介するのがよいでしょう。

④ご芳志

「ご芳志」は「ごほうし」と読み、ご厚志と同じような意味をもっています。ただ、「ご芳志」の方がより丁寧な印象になります。ともに、くださった人の気持ちを敬う意味合いがあります。度合いで言うと、ご芳志>ご厚志です。

「芳」は「ご芳名」などと使うように、相手に属するものを高める言い方になります。「厚」は「ご厚情」という言葉もある通り、相手が大変良くしてくれているという意味です。使われる場面もほとんど同じで、どちらを使っても失礼には値しません。

ただし「ご芳志」は聞きなれない人にとっては「ご奉仕」だと思ってしまう場合もありますので、「ご厚志」を使うか、または聞き取りやすい「お心遣い」を使うのも良いでしょう。

⑤お心遣い

「心遣い」には、相手に気を使うという意味に加えて、心からの気配りや配慮をするという意味があります。

たとえば、結婚式でご祝儀をもらったときに、ご祝儀を言い換えて「お心遣い」と表現する場合です。冠婚葬祭だけでなく病気やけがのお見舞いで送られたお金や、サービスに対するチップなども同様です。また、頂いたお金へのお礼を伝える際に、ご祝儀やお香典を「お心遣い」と言い換えて、感謝を表すこともあります。

寸志以外に、お中元やお歳暮を贈られたときのお礼にも「お心遣い」を使います。

また、金品だけでなく、サポートや声かけなど目に見えないものへ感謝の気持ちを伝える際にも「お心遣いありがとうございます」などと表現する場合もあります。

⑥松の葉

「松の葉」とは、松の葉に包むほどわずかであることから「ほんのささやかな」手土産を贈る際に熨斗紙の表書きとして用いられます。

意味合い的には「寸志」と同じ意味ですが、寸志が目上の方から目下の方へ送られる品に用いられるのに対して、「松の葉」はどちらの場合でも使うことがあります。

また、新潟地方では、「松の葉」の表書き熨斗に新郎新婦の名前を入れて、結婚式の名披露目(なびろめ)として贈る習慣があります。二人の名刺代わりといった意味を持つもので、その多くがタオルや風呂敷、手ぬぐいなどのちょっとしたもの。

それ以外の地域では使用シーンが多くないため、馴染みがないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

マナーを理解して、スムーズに気持ちのやり取りを

寸志は「心ばかりの」という意味でボーナスの代わりや会合の際などに用意されることがあります。寸志においては、物や金額のやり取り以上に、相手の気持ちを受けること、そして自身の気持ちを贈ることが大切です。失礼のないようマナーを理解して円滑なコミュニケーションがはかれるようにしましょう。

このほかにも、さまざまなビジネスシーンで使える言葉を紹介しているので、ぜひ他の記事も参考に、ビジネススキルの向上に役立ててください。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。