ノウハウ

ユニオンとは?労働者が加入するメリット・デメリットについて解説

栗田 謙人
更新日:2024/03/28

働く人にとって安心できる職場環境は大切です。「職場の環境を改善してほしい」「給与を上げてほしい」など、労働者はさまざまな想いを抱えているのではないでしょうか。突然のリストラや解雇の可能性に、不安を抱えている人も少なくありません。しかし、一人で企業と交渉しても、時間と労力がかかるだけで、労働者にとって不利でしかないです。

そこで誕生したのがユニオンです。ユニオンは、労働者の保護を目指して誕生した組合であり、さまざまな役目を担っています

今回は、ユニオンについて解説していきます。ユニオンに興味がある人も、はじめてユニオンという言葉を知った人にとっても、理解しやすい記事になっています。ぜひ参考にしてください。

目次
  • ユニオンとは
    • 企業外の労働組合
    • 企業別労働組合とは異なる
  • ユニオン(労働組合)ができること
    • 企業の雇う側と対等な立場での交渉
    • 職場環境の改善を図る
  • ユニオンがやばいと言われている理由
  • 労働者がユニオンに加入する3つのメリット
    • メリット1:労働条件の改善について団体交渉できる
    • メリット2:他社の人とつながることができる
    • メリット3:不当行為を防ぐことができる
  • 労働者がユニオンに加入する3つのデメリット
    • デメリット1:組合活動にあてる時間が必要
    • デメリット2:組合費を支払う必要がある
    • デメリット3:会社にいづらくなる恐れがある
  • ユニオンの加入が難しい人
  • ユニオンに加入する方法
  • 悩みごとがあればユニオンに加入しよう

ユニオンとは

まずは、ユニオンについて解説していきます。ユニオンの意味、役目、ユニオンと似た組合との違いなど、ユニオンを知るための第一歩としてわかりやすくまとめています。以下を参考に、ユニオンについて基礎知識を深めてみましょう。

企業外の労働組合

ユニオンとは、個人でも加入可能な企業外の労働組合のことをいいます。さまざまな企業の従業員が個別で加入しており、加入者の必要に応じて適切な対応をしてくれる組合として今注目されています。

もともと日本には「企業別労働組合」というものが存在していました。企業別労働組合とは、その企業に属する従業員だけで結成された労働組合です。しかし、国内労働者の大半が企業別労働組合には加入していません。

大企業では、企業別労働組合に加入している労働者の割合が一定数あるものの、それ以外の中小企業では、ほとんどの労働者が加入しておらず、さまざまな課題で労働問題を抱えています。解雇やハラスメント、賃金の未払いなど、深刻な労働問題はあとを絶ちません。そこで誕生したのが「ユニオン」です。

企業別労働組合とは異なる

労働組合とは、労働組合法上「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」のことをいいます。ユニオンは、労働組合の一種であり、ユニオンも労働組合と言っても間違いではありません。

大きな違いとしては、加入条件です。企業別労働組合は、企業ごとでの加入ですが、ユニオンは個人で加入できます。企業別労働組合とは性質が異なるため、区別するためにユニオンや合同労組と呼ばれるケースもあります。

ユニオン(労働組合)ができること

ユニオンについて理解ができたならば、次はユニオンができることについて解説します。加入を考えている方は、ユニオンでできることを理解した上で、自分が望んでいることを叶えられるか確認してください。

企業の雇う側と対等な立場での交渉

労働組合は、労働者が抱える悩みや課題に対し、企業などの雇側と対等に交渉できます。同じく、ユニオンに加入していれば、企業への交渉を対等に実施することが可能です。

労働組合を通して行う企業への交渉を「団体交渉」や「団交」といいます。団体交渉を行うことは、日本国憲法と労働者に関する法律で定められているため、交渉することによって労働組合や労働者が不利になることはないので安心してください。

企業との関係や労働環境に悩んでいるのであれば、ユニオンに加入してみるのがオススメです。

職場環境の改善を図る

ユニオンは、加入している労働者の問題解決を支援することで、職場環境の改善に役立っています。ユニオンの支援のおかげで、従業員は仕事に対し安心して取り組めるようになります。また、労働環境が良くなれば、生活の質も向上するため、さまざまな効果を生み出す存在です。

ユニオンは、労働者が適切な環境下で、生き生きと働くための支援を担う組織です。労働条件に関するさまざまな不条理なものから、ユニオンが労働者を守ってくれます。

ユニオンがやばいと言われている理由

ユニオンが相手である団体交渉は、紛争が激しくなる可能性があります

中には、団体交渉の際、会社経営者や担当者に対し罵声を飛ばすことや、大人数が団体交渉に参加し、企業側を威嚇するケースも少なくありません。そうなると、企業側は恐怖にかられて萎縮してしまい、交渉がスムーズに進まなくなってしまいます。

また、交渉がうまくいかなかった際には、会社近辺でビラ配りやビラ配布、集会を行う団体も少なくありません。会社がユニオンからの交渉に応じるまで、経営者の自宅付近で集会を行ったり、取引先に噂を流したりするケースもあります。

こういった行動から、企業はユニオンを相手にしたくないと考えています。しかし、法律上会社側にはユニオンの団体交渉に応じる義務があります。そのため、「ユニオンはやばい」という人が多いです。

労働者がユニオンに加入する3つのメリット

労働者がユニオンに加入することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。職場環境の改善や労働条件の変更など、さまざまなメリットが挙げられますが、以下では3つに絞って解説します。ユニオンへの加入を検討している人は参考にしてください。

メリット1:労働条件の改善について団体交渉できる

労働環境や労働条件に悩みを抱えていても、自分一人ではどうにもできないことが多いです。スムーズに交渉が進まないまま、時間と労力だけがかかり疲労してしまうことも少なくありません。

しかし、ユニオンに加入していれば団体交渉が可能です。ユニオンは法律上保護されている団体組織であり、労働者の要望や希望を代弁して企業に交渉してくれます。また、会社の不当なども主張してくれるため、一人で企業に対して交渉するよりも影響力があり、スムーズに職場改善される傾向があります。ユニオンに加入すれば、不当な扱いも受けにくくなります。

メリット2:他社の人とつながることができる

ユニオンは、企業外の労働組合です。そのため、さまざまな組織に属している労働者が加入者として在籍しています。ユニオンに加入すれば、在籍中の加入者とのつながりが増えるでしょう。「社外とのつながりを作りたい」「気楽に相談できる社外の人を探している」など、社外との関わりを求めている人にはオススメです。

ユニオンの中には、団体交渉などの活動後に打ち上げを実施している団体もあります。これらの活動に積極的に参加すれば、効率的に社外との関係を構築できること間違いなしです。社外の人との関係づくりを考えている人は、加入を検討してみましょう。

メリット3:不当行為を防ぐことができる

ユニオンに加入すれば、企業からの不当な取り扱いにも交渉しやすくなります。個人で対抗するよりも、ユニオンを使った団体交渉のほうが効果的です。

また、一人で交渉をしようとしても、企業に断られる可能性があります。しかし、法律上企業はユニオンなどの労働組合からの交渉を拒否できません。そのため、一人で交渉するより、ユニオンに加入して団体交渉をしたほうが効率的に交渉を進められます。

団体交渉が成立すれば、職場改善が進み、企業の不当行為などに悩む必要がなくなります。その結果、これまでよりも生き生きと働けるようになるでしょう。

労働者がユニオンに加入する3つのデメリット

団体交渉で、企業への交渉がスムーズに行えるなど、メリットが多そうなユニオンですが、デメリットもあります。メリットだけでなく、デメリットもしっかり理解することで、自分自身が加入する際の検討材料になるはずです。以下で紹介されているデメリットを参考に、理解を深めてみましょう。

デメリット1:組合活動にあてる時間が必要

ユニオンに加入後は、組合活動に参加する必要があり、想像以上の時間を費やすことになります。

たとえば、イベントです。組合活動ではイベント企画や立案、イベントのための資料準備などが発生します。企業勤めの社会人であれば、日中本業の業務を行い、終業後にユニオンの組合活動に時間を割かなくてはいけなくなるので、かなりハードなスケジュールになります。また、組合活動に費やした時間は無給のため、終業後に「タダ働き」をしていると感じる人は少なくありません。

一生懸命準備を進めても、結果が報われるとは限らないので、ユニオンでのモチベーションを維持しにくい恐れがあります。

デメリット2:組合費を支払う必要がある

ユニオンに加入した場合、組合費が発生します。

組合費が発生する理由は、労働組合は会社から援助を受けて成り立っているわけではないからです。ユニオンは、加入者である会員から組合費を回収し、運営されています。そのため、ユニオンに加入した際は、月3,000円〜5,000円の組合費を払わなくてはいけません。

月会費は、加入する組合によって異なるので、気になる方は調べてみましょう。

デメリット3:会社にいづらくなる恐れがある

もちろん、企業は従業員が組合に加入したからといって、その従業員に対し不当な取り扱いや風当たりを強くすることは許されていません。

しかし、会社の上司や同僚の中には、従業員のユニオンの加入に対しネガティブな印象を持つことは少なくありません。仮に、ユニオンに加入したことが社内に広まれば、周りからよそよそしい扱いや距離を置かれる可能性を考えておきましょう。そうなると、だんだんと会社にいづらくなる可能性もあります。

ユニオンに加入する際は、このようなデメリットも考えた上で決めるようにしてください。

ユニオンの加入が難しい人

労働者の安心と安全をサポートするためのユニオンですが、以下に当てはまる人は加入が難しいです。

  • 企業の役員
  • 雇入れ、解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある労働者
  • 使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項に接し、そのたにその職務上の義務と責任とが当該労働組合の組合員としての誠意と責任とに直接に抵触する監督的地位にある労働者
  • その他使用者の利益を代表する者が加入する団体

ユニオンは、労働組合法上の労働組合に応対するため、自主性が求められています。そのため、上記に当てはまる場合加入が認められていません。役員などの地位が高い労働者が加入してしまうと、ユニオンが会社のいいなりになってしまい、団体交渉がスムーズに進まない可能性があるからです。

ユニオンに加入する方法

ユニオンへの加入は、インターネット検索がオススメです。検索方法は、「自分が属する業界∔ユニオン」で検索します。

たとえば、IT業界でエンジニアとして働いているならば「IT業界 ユニオン」だったり、「エンジニア ユニオン」のようなイメージです。もし、検索結果で思うような結果が出なかった際は、表現を変えてみたり「業界」という言葉をなくしてみるのもオススメです。

ほかにも「悩み ユニオン」「会社辞めたい ユニオン」など相談や目的をキーワードにして検索してみるのも効果的でしょう。

基本的にユニオンは同業界の労働者たちで構成されていますが、業種・業界問わず総合的にサポートしているユニオンもあります。それぞれのユニオンが公式としているホームページをしっかりと確認してみましょう。

また、組合費や加入条件が決まっているユニオンも多いです。条件に当てはまらないとユニオンへの加入はできないので、注意しましょう。

悩みごとがあればユニオンに加入しよう

ユニオンは、労働者の抱える悩みや相談を解決に導く組織です。労働者一人で企業と交渉することは、ほぼ不可能です。たとえ交渉の場があったとしても、交渉成立までに莫大な時間と労力を費やすでしょう。しかし、ユニオンに加入すれば、労働者の代わりに企業への交渉を実施してくれます。

ただし、ユニオンに加入する際にデメリットも発生するので注意しましょう。「職場環境をとにかく改善したいけど、ユニオンの組合費などデメリットが気になる」という方は転職がオススメです。特に転職エージェント・WARC AGENTは、管理部門に特化した求人を扱っており、豊富な経験を持つキャリアアドバイザーのサポートのもと、スムーズに転職活動が行えます。

ユニオンに加入するには少し勇気がいるという方は、まずは無料で登録できるWARC AGENTを活用してみてはいかがでしょうか。きっと生き生きと働ける環境に出会えます。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。