ノウハウ

風評被害とは?原因やおよぼす影響、未然に防ぐ方法、発生後の対処法を紹介

栗田 謙人
更新日:2024/03/28

東日本大震災や新型コロナウイルスのクラスター発生などのニュースで「風評被害」という言葉を耳にした方も多いと思います。風評被害により、ビジネスや生活に影響を受ける人は少なくありません。

この記事では、風評被害の概要に加え、風評被害がおよぼす影響や、風評被害の原因と対処法などを解説します。

目次
  • 風評被害とは
  • 風評被害の原因
    • SNS
    • メディアによる報道
    • 誤解と偏見
  • 風評被害がおよぼす影響
    • 個人
    • 企業
  • 風評被害によって影響が出た事例
    • 大災害による風評
    • パンデミックによる風評
    • 個人による投稿や書き込みによる風評
  • 風評被害を未然に防ぐ方法
    • 正確な情報の提供
    • SNSの活用方法
    • 透明なコミュニケーション
  • 風評被害発生後の対策
    • 事実確認を行う
    • 声明文を発信する
    • 情報の削除・発信の停止を求める
    • 法的措置をとる
  • 風評被害発生後に企業の評判を改善する方法
    • リスクマネジメントを行う
    • 企業の評判管理を行う
    • 社内教育を徹底する
  • 風評被害は未然に防ぐ対策と発生後の対処法が重要
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風評被害とは

風評被害の「風評」には「人々が広く言い伝えている評判や噂」という意味があり、風評被害とは世間の評判により被害を受けることです。具体的には、根拠のない噂やデマが広められたことによって、企業や個人が被る経済的な被害です。インターネットが普及し、SNSなどを通して誰もが簡単に情報発信をできるため、真偽を確かめずに発信してしまうケースが増えています。

誹謗中傷と風評被害は混同されがちですが、誹謗中傷は他人の悪口を言いふらすのに対し、風評被害は根拠のない噂やデマにより経済的被害を被らせることを意味します。

風評被害の原因

風評被害をもたらす原因は、SNSやメディアによる報道、誤解と偏見の主に3つが挙げられます。風評被害の原因を知っておくことで、自らが誤って風評被害を広めてしまわないように意識できるでしょう。ここからは風評被害の原因について解説します。

SNS

近年、インターネットの普及により、Instagram、facebook、X(旧Twitter)、LINEなどのSNSを使い、誰もが簡単に情報発信や共有ができるようになりました。目にした情報の真偽を確かめることなく、拡散してしまうと、情報の訂正はなかなかできません。また、SNSは匿名性が高く、容易に関係者や専門家と偽って情報発信できてしまうのも、風評被害の大きな要因です。

メディアによる報道

メディアから発信される情報は、社会の常識や情報を形容していて、一般的に真実性の高いものと認識されています。テレビや新聞、インターネットニュースなどは不特定多数の人に瞬く間に情報を与えるため、正確に伝えないと風評被害を招く恐れがあります。

メディアは発信する前に細かな規定に則り情報を精査しますが、一方的な偏りや感情的な見出し、十分な裏どりをせず発信してしまうと、偏向報道や誤報となってしまうのです。メディアの影響力は大きい上、誤った情報が広がる速度は速いため、風評被害が生じた際には訂正が難しいと言えます。

誤解と偏見

誤解や偏見も風評被害が広まる要因の一つです。裏付けのない固定観念や、一般的に浸透している思考や観念、ものの見方や捉え方により、事実とは異なる情報で風評が広がる傾向を助長します。正確な情報ではなく、固定観念や先入観で物事を判断したり行動すると、風評被害を招く可能性があります。

誤解や偏見は一度形成されると、訂正するのは非常に難しく、風評被害につながりやすいと言えます。

風評被害がおよぼす影響

真偽を確かめないまま広がってしまった風評被害は、さまざまな影響をもたらします。ここからは、風評被害が個人や企業におよぼす影響について解説します。

個人

個人が風評被害を受けると、就職活動や転職、会社員の場合には社内における評価の低下や解雇に至るケースがあります。

また、誤った情報により社会的評価を落とされた結果、経済面での影響や、人間関係が壊れることにより、ストレスや抗うつなどの精神面への悪影響を引き起こす可能性もあります。特にSNS上のトラブルは、情報が削除されず残り続ける可能性があるため、長期間に渡って影響を受けてしまうのです。精神面での影響は、自己肯定感の低下や、人間関係の構築に悪影響をおよぼし、日常生活やキャリアにまで深刻な影響をおよぼします。

企業

企業が風評被害を受ける直接的な影響は、経済的な損失です。消費者は企業の商品の購入を控えたり、サービスの利用をしなくなり、売上が低下します。さらにブランドや企業のイメージの低下にもつながり、企業の存続さえも危ぶまれます。

風評被害は間接的には、取引先からの信頼を失ったり、銀行などとの関係にも影響をおよぼしかねません。また、ネットの炎上や株価の下落など、企業は大きなダメージを被ります。企業が風評被害を受けると、従業員はクレームや嫌がらせへの対応に追われ、モチベーション低下を招くリスクもあるのです。

風評被害によって影響が出た事例

風評被害は災害や事件、事故などの時に、適切ではない報道やSNS上での情報によって、本来は無関係の人々や団体、企業が損害を被ることがあります。ここからは実際に風評被害によって影響が出た事例について見ていきましょう。

大災害による風評

2011年東日本大震災が起きた際、福島第一原発の事故によって放射能の危険性を心配し、人々の行動に大きな影響をおよぼしました。放射性物質の基準値をクリアしているにも関わらず、被災地である福島県の農産物や水産物を買い控える動きが見られました。原発事故の影響は、福島県産の食品がすべて安全ではないという事実無根の風評により、被害を受けたのです。

また、原発から離れた地域でも、放射線量を気にして足を運ばないなど、観光にも大きなダメージを与えました。

パンデミックによる風評

2020年に世界的パンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症の流行の際にも、風評被害を受けた企業があります。

暖房器具などを製造するメーカーで新潟県に本社を置く「株式会社コロナ」の株価が、一時的に大暴落したのです。新型コロナウイルスとは無関係ですが、社名が「コロナ」と偶然同じだったという理由で、株価が2週間の間に約17%下落しました。(※1)

(※1)参考:わらしべ瓦版「風評被害とは?企業業績や株価に与える影響を解説」

個人による投稿や書き込みによる風評

風評被害は個人による投稿や書き込みによっても引き起こされます。

たとえば、元従業員が勤務していた会社で「上司にセクハラをされた」「労災事故を隠蔽している」など事実に反する投稿を続け、会社・個人の信用を低下させ、業務の妨害をしたという事例があります。結果、会社側は元従業員に対して損害賠償を求めました。

また、ネットの掲示板で「B社はどんな会社か?」という質問に対して、実際には無関係の人が「B社の社員から○○と聞きました」などと、あたかも本当に聞いたかのように名誉・信用を毀損する内容を書き込んだ事例もあります。これを発見したB社の代表は、投稿者に対し損害賠償を請求し、判決で損害賠償の支払いが命じられました。

風評被害を未然に防ぐ方法

風評被害を受けた場合、企業であれば業績の悪化やブランドイメージの低下、株価下落などの悪影響が及びます。また、個人の場合には、日常生活やキャリアにまで深刻な悪影響が及ぶ可能性があります。一度風評被害を受けると、回復には時間がかかるため、未然に防ぐ対策を講じておくことも重要です。ここからは風評被害を未然に防ぐ方法について解説します。

正確な情報の提供

風評被害は誤った情報や不確かな情報が広まることで生じます。インターネットやSNSで自身が情報を提供する際には、その情報が正確であるかを確認し、情報源を明らかにすることが重要です。参照している情報源が信頼できるものであるか、最新の情報であるかを常にチェックする必要もあります。

また、専門家の意見を取り入れたり、情報が更新される度に積極的に共有して、積極的な情報更新を心がけることも重要です。

SNSの活用方法

風評被害を未然に防ぐにはSNSの活用方法への注意も必要です。SNSは情報を瞬時に拡散させるツールのため、風評被害が生じやすい一方、使い方次第では風評被害を防ぐ手段にもなり得ます。誤った情報を拡散させないためには、自身のアカウントから正確な情報を発信することが重要です。

また、一方的に情報を発信するだけでなく、ユーザーからの質問や意見を聞き、対話をするようにSNSを活用することも重要です。質問に対しては正確な情報を元に回答をし、たとえ批判的な意見であっても解説を加えた事実を共有するなど、積極的なコミュニケーションが求められます。

透明なコミュニケーション

何か問題が起きた際、隠ぺいしようとすると、憶測などで情報が伝えられ、風評被害が生じる可能性があります。問題が発生した際は事実を素直に認めたうえで、何がどのように起きていて、どのように対応を進めているのかを正確に伝えるようにします。

また、誤った情報が広まっている場合も、ただ否定するのではなく、事実を具体的に伝えたうえで誤りを指摘し、正しい情報を共有して理解を得ることが重要です。風評被害を未然に防ぐには、企業や個人の透明性のあるコミュニケーションを取ることが重要で、透明性が信頼の証ともなるのです。

風評被害発生後の対策

風評被害が発生した場合、適切な対策を講じないと完全に立ち直ることは難しくなります。真偽不明の情報により、個人や企業が受けるダメージは大きいため、もしも風評被害が発生したときの対策を考えておくことも重要です。ここからは風評被害発生後の対策について解説します。

事実確認を行う

風評被害が発生した際に一番重要なことは、迅速な事実確認と対応です。風評被害に関する情報を発するより、まず問題となっている情報の真偽の確認をし、具体的な証拠や再現性を求めることが大切です。事実確認をせず内容を否定してしまうと、後ほど事実であった場合にさらなる批判を招きかねません。

声明文を発信する

事実確認が済んだ後は、すぐに公式な声明文を発信することが重要です。世間に広まったネガティブな情報が事実に反するものであれば、その旨と経緯、今後の法的対応方針を公表し、もしも事実であれば、今後の再発防止に努める旨を公表します。いずれの場合にも、声明文をすぐに出すことで、風評被害を最小限に抑えられます。声明文は自社ホームページの目につきやすいトップページや、SNSアカウント、マスメディア、ニュースリリースなど、より多くの人の目に触れるよう、複数の場所に掲載するのが望ましいです。

さらに、声明文とあわせてマスメディアおよび消費者、取引先などの利害関係者に向けて、情報開示を行うクライシスコミュニケーションを取ることも重要です。

情報の削除・発信の停止を求める

風評被害のさらなる拡大を防ぐためには、風評被害の原因となったSNSや掲示板の書き込みについて削除依頼を出すことも重要です。一般的にはSNSや掲示板の運営会社や運営者に削除依頼を出すことで対応してもらえますが、削除依頼に対応してもらえない場合は裁判が必要となる場合もあります。

ただし、投稿が削除されるまでの間にも情報の拡散が進んだり、他のサイトに転載される恐れがあり、一度拡散された情報を完全に削除するのは困難です。

運営会社や運営者に削除依頼を出す際には法的手続きを熟知した弁護士に依頼するほうがスムーズに進みます。

法的措置をとる

風評被害を受けた場合、法的な措置で責任追及ができる可能性があります。法的な措置とは、情報の投稿者が特定した場合に、名誉毀損罪、信用毀損罪、偽計業務妨害罪などに問い、損害賠償請求をすることです。

投稿者の特定は、SNS・掲示板などの運用会社・運用者に、投稿者のIPアドレス開示を請求をします。その後、IPアドレスをもとにプロバイダの特定をして、投稿者の住所や氏名の開示を求める流れです。なお、名誉毀損罪については、内容の真偽に関わらず、公然と事実を適示して他人の名誉を毀損し、社会的評価を下げた場合に適用されます。

法的手段には民事訴訟と刑事訴訟があり、証拠の有無や被害状況などにより、どちらの手段を選択するかを決めます。

風評被害発生後に企業の評判を改善する方法

風評被害が発生後、どのようにして評判を改善するかも重要な課題です。一度風評被害が広がると、信頼を取り戻すのに何倍もの労力と時間を必要とします。ここからは 風評被害発生後に企業の評判を改善する方法について解説します。

リスクマネジメントを行う

風評被害は企業にとって大きなリスクとなるため、風評被害から自社を守るためにはリスクマネジメントが必要です。リスクマネジメントとは、損失の可能性があるリスクを識別し、リスクが事業に与える悪影響を評価して、影響を最小限にするための戦略を立てたり、行動することを言います。リスクマネジメントを行うには、企業が持つ情報の適切な管理と分析が必要です。

また、社会情勢や企業の外部環境は変化するため、常に注視して、企業の価値を下げるような出来事がないかを早期に見つけることも重要と言えます。

企業の評判管理を行う

日頃から企業の評判管理を意識しておくのも重要なポイントです。評判管理はレピュテーション管理とも言われ、企業の一般的な認知に対し、影響をおよぼす可能性があるあらゆる要素を管理することです。

風評被害は企業の評価を一夜にしてがらりと変えてしまうほどの効力があります。企業が良い評価を得られるように、慎重に行動を選択し、メッセージを真摯に伝える必要があります。評判管理の戦略が成功すれば、自社へのネガティブな発言や書き込みに対し、その影響を最小限に抑えることができるでしょう。

社内教育を徹底する

社内教育や訓練は風評被害対策の最前線です。社内教育や訓練を行うことは、社員一人ひとりが企業の評判を心象つける力を持っていることを認識する上でとても重要です。

たとえば、何気なくSNSで発信した情報が原因で風評被害につながるケースもあります。SNSやインターネットの適切な使い方を指導するとともに、情報発信や発言に関する規制を設けておくことも重要です。

社員一人ひとりが企業の価値観を理解し行動することで、適切なクレーム対応ができ、評判やブランドイメージを守ることができるのです。

風評被害は未然に防ぐ対策と発生後の対処法が重要

風評被害は根拠のない噂やデマが広げられることにより、企業や個人に経済的ダメージを与えます。一度風評被害が広まると回復には時間と労力が必要で、完全に削除するのは困難です。風評被害を招かないためには未然に防ぐ対策を講じ、万が一風評被害が発生した際の対処法を知っておくことが重要です。

風評被害はいつどこで起こるかわかりません。あらかじめ対策をとっておき、いざというときに迅速な対応をできるようにしておくと、風評被害の影響を最小限に抑えることができるでしょう。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。