ノウハウ

マインドフルネスとは?ビジネス界で注目されている理由や取り入れるメリット、実践法も紹介

栗田 謙人
更新日:2024/03/31

ビジネスパーソンの生産性やパフォーマンスの向上などが期待できるマインドフルネスは、アメリカの大手IT企業をはじめ多くの企業で導入されています。マインドフルネスを聞いたことはあるけれど、具体的にどのようなものか分からない方もいるのではないでしょうか。

本記事では、マインドフルネスの特徴やビジネスで期待できる効果、実践方法などを解説します。マインドフルネスをビジネスに活かしたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

目次
  • マインドフルネスとは
  • 瞑想との違い
  • ビジネス界でマインドフルネスが注目されている理由
    • 労働生産性の向上
    • 健康経営の取り組み
  • ビジネスにおいて役立つマインドフルネスの効果
    • 脳機能の変化
    • ストレスの軽減
    • パフォーマンスの向上
    • クリエイティビティの向上
    • 良好な人間関係の構築
  • マインドフルネスの種類と実践方法
    • ①静座瞑想
      • 実践方法
    • ②歩行瞑想
      • 実践方法
    • ③ボディー・スキャン瞑想
      • 実践方法
  • マインドフルネスを行う際のポイント
    • 目的意識をもつ
    • 呼吸に集中する
    • すぐに効果は出ない
    • やらない方がいい人もいる
  • マインドフルネスを導入している企業
    • Google
    • Apple
    • メルカリ
    • Sansan株式会社
  • マインドフルネスをビジネスに活かそう
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マインドフルネスとは

マインドフルネスとは「今・ここ」をあるがままに感じ、雑念にとらわれることなく目の前のことに集中する状態のことです。人は日々さまざまなことを体験し、考えながら生活しています。すでに変えられない過去のことを引きずって考えたり、まだ起きてもいない未来のことを心配したりすることも珍しくありません。

マインドフルネスで集中するのは、過去や未来ではなく「今・ここ」です。五感に意識を集中させ「今・ここ」に心を向けることで雑念を消し、ただ目の前のことに集中するため、集中力を高めたりストレスを解消したりする効果が期待できます。

マインドフルネスな状態を実現するために行うのが、古代の仏教より伝わる伝統的なメソッドから宗教的な要素を取り除いた瞑想です。メンタルヘルスや生産性向上などの観点からビジネスでも注目されています。

瞑想との違い

マインドフルネスと瞑想の違いは、行う目的です。マインドフルネスの目的は「今・ここ」に集中して自己認識を深めることを目的としています。また、マインドフルネスを実施することによる集中力の向上など、明確な利益を得ることもマインドフルネスの目的の一つです。

一方、瞑想は利益を求めず脳をリラックスした状態にして休ませることを目的としています。何も考えない無心の状態に入り、日々の仕事や家事などで溜まった疲労で疲弊した脳を休ませることが目的です。

ビジネス界でマインドフルネスが注目されている理由

マインドフルネスはビジネスにおいても注目されています。ビジネス界でマインドフルネスが注目されている理由は、主に以下の2つです。

  • 労働生産性の向上
  • 健康経営の取り組み

それぞれどのような理由なのか解説します。

労働生産性の向上

従業員の個々のパフォーマンスを向上させ、労働生産性の向上につなげるためにマインドフルネスが注目されています。労働力人口が減少している日本で、さまざまな企業が直面しているのが人材不足の問題です。

限られた労働力をどのように活かし、効率的により多くの仕事を行うか考えなければなりません。業務の効率化を進めるには、個々の能力の向上も必要です。そのため、マインドフルネスで従業員のパフォーマンスを向上させることを目的として、マインドセットを取り入れる企業が増えています。

健康経営の取り組み

マインドフルネスは、従業員の健康管理を取り入れた健康経営の取り組みの手法としても注目されています。従業員が過重労働で心身の不調に陥ったり、仕事へのやりがいや働く意義が見いだせず仕事へのモチベーションが持てなかったりすることは少なくありません。こうした状態では従業員が高いパフォーマンスで仕事を行うことは難しいでしょう。

そこで、注目されているのが、従業員の健康管理を経営的な視点で考え実践する健康経営です。マインドフルネスは従業員の健康や幸福度にも寄与する効果があるといわれており、従業員がいきいきと働くための手法として注目されています。

ビジネスにおいて役立つマインドフルネスの効果

マインドフルネスを実施することで期待できる効果には、主に以下の5つが挙げられます。

  • 脳機能の変化
  • ストレスの軽減
  • パフォーマンスの向上
  • クリエイティビティの向上
  • 良好な人間関係の構築

それぞれどのような効果なのか解説します。

脳機能の変化

マインドフルネスを実施すると得られる効果の一つが、脳機能の変化です。脳は常にデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれる活動をしており、脳を使っているつもりがなくても常に動いています。マインドフルネスではDMNの活動を抑制し、脳を休めることが可能です。

実際、マインドフルネスを行った結果、感情の調整や認知機能に関連する脳の部位に変化がみられるとする研究が数多くあります。こうした変化が日常生活やビジネスにおいても良い変化をもたらすのです。

ストレスの軽減

マインドフルネスはストレスの軽減にも効果的です。ワシントン大学で行われた研究(※1)では、マインドフルネスを実施したグループのストレス値が最も低く、記憶力も向上していたことが分かりました。

ストレスは心身の不調を起こす要因の一つであり、体の免疫機能にも関係しています。そのため、健康経営においてもストレス軽減への施策は重要です。マインドフルネスを実施してストレスへの耐性があがれば、ストレス軽減や免疫力向上につながり、心身ともに健康で仕事に注力できるでしょう。
(※1)参考:株式会社サンカラ ヨガ・メディテーションがもたらす科学的根拠を実証した具体的実験研究結果

パフォーマンスの向上

マインドフルネスをビジネスに取り入れれば、従業員のパフォーマンスの向上も期待できます。マインドフルネスは散漫になりがちな意識や思考を「今・ここ」に集中した状態へコントロールする手法です。

マインドフルネスを実践すると、目の前のことへ集中する力が鍛えられ、記憶力や作業処理スピードも向上します。業務を効率的にこなせるようになり、日々のパフォーマンスの向上につながるでしょう。

クリエイティビティの向上

マインドフルネスはクリエイティビティの向上も期待できます。新しいアイデアを生み出すには、さまざまな情報を連結させて新しい発見を見つけることが重要です。

マインドフルネスを実践した脳は雑念が消え、余裕があるリラックスした状態になります。脳内が整理されているため、自力で思考するよりも何倍ものスピードでの情報処理が可能です。

また、脳に余裕があれば新しい考えを許容し、さらに良いアイデアにするための思考に脳を使えます。これによりクリエイティビティの向上につながるでしょう。

良好な人間関係の構築

マインドフルネスは良好な人間関係の構築にも役立ちます。雑念が多く思考が散漫になっている状態では、他者とコミュニケーションをとっているときでも意識が散漫になりがちです。一時の感情に振り回されて感情的に接してしまう可能性もあるでしょう。

マインドフルネスによって自分の考えや状態を把握できるようになれば、相手と落ち着いて向き合えるようになります。精神的な安定が得られ、他者の意見を受け入れたり話し合ったりする心の余裕が生まれるでしょう。気配りもできるようになり、良好な人間関係の構築につながります。

マインドフルネスの種類と実践方法

マインドフルネスの代表的な種類としては以下の3つが挙げられます。

  • ①静座瞑想
  • ②歩行瞑想
  • ③ボディー・スキャン瞑想

マインドフルネスの効果を得るには、自分に合った方法で実践することが大切です。どのように実践するのか、種類別にみてみましょう。

①静座瞑想

静座瞑想は座って行う瞑想方法です。姿勢を整えて座り、呼吸から全身の状態、周囲の音、体の感覚、浮かんでくる思いや感情へ順番に意識を集中させます。体や心をありのままに受け入れて意識を集中させる瞑想方法です。

マインドフルネスの中でもとくにスタンダードな方法で、ストレス管理や生産性の向上が期待できます。最初は1日1回10分を目安にし、慣れてきたら30分以上集中できるように徐々に時間を伸ばしていきましょう。

実践方法

静座瞑想の実践方法は以下の通りです。

  1. 椅子に座り姿勢を整える
  2. ゆっくりと呼吸し意識を集中させる
  3. 体や思考へ意識を向ける
  4. 周囲へ意識を戻す

まずは椅子に座り、背筋を軽く伸ばしてリラックスできるように姿勢を整えます。上から吊るされたように頭から背中までが一直線になっているのが理想です。

次に、ゆっくりと呼吸をして呼吸そのものへ意識を集中させます。鼻に空気が通る感覚や肺やお腹が動く様子、呼吸の深さなどに集中しましょう。

そして、体や思考へと意識を集中させます。足と床、椅子の座面とお尻などの体がものに触れている感覚、耳から入ってくる周囲の音など、何をどのように感じ、どう思っているかを意識しましょう。雑念が生まれた場合は再度呼吸へ意識を集中させます。

最後に周囲へ意識を戻して終了です。意識を戻す際にはゆっくりと時間をかけて戻しましょう。

②歩行瞑想

歩行瞑想は歩きながら実施する瞑想方法です。歩いているときの呼吸や姿勢、体の動きなどに意識を向けて集中します。注意力が散漫な状態を解消し、集中力を高める効果が期待できる方法です。慣れてくれば日常生活にも取り入れやすいでしょう。

なお、騒がしい場所や交通量が多い場所などでは集中力が途切れやすく、あまりオススメできません。自分自身への意識を集中させる分周囲への意識が薄れるため、安全を確保でき、自分自身へ集中しやすい場所で行いましょう。

実践方法

歩行瞑想の実践方法は以下の通りです。

  1. 実施場所を決める
  2. 歩きながら呼吸を整える
  3. 足裏の感覚や手足の動きを意識する
  4. 周囲へ意識を戻す

まずは歩行瞑想を行う場所を決めます。騒がしく集中しにくい場所や人やものが多い場所は避け、安全が確保できる場所で行いましょう。

続いて、ゆっくりと歩きながら呼吸を整え、意識を自分へ向けていきます。地面を蹴る足裏の感覚や、手足がどのように動いているかを丁寧に感じ取りましょう。このとき、普段よりもゆっくりとしたスピードで歩き、体の隅々まで意識することが大切です。

途中で雑念がわいてきたら足裏の感覚へ意識を戻し、また体の動きへと意識を向けます。雑念がわく度にこれを繰り返し、最後に周囲へと意識を戻して終了です。

③ボディー・スキャン瞑想

ボディー・スキャン瞑想は体のさまざまな部位へスキャンするように意識を向ける瞑想方法です。体の各部位へ順番に意識を向け、体が感じ取っている感覚をありのままに知覚します。心身をリラックスさせ、脳の疲労軽減や精神的な安定が得られるなど、さまざまなメリットがある方法です。

自分の体へ意識を向けるため、普段は気づかなかった体のコンディションに目を向け、体の状態に気づく力も高められます。なお、体全体をゆっくりと確認していくため、実施する際には長めに時間を確保しましょう。

実践方法

ボディー・スキャン瞑想の実践方法は以下の通りです。

  1. 姿勢を整える
  2. 呼吸へ意識を集中させる
  3. 体の部位へ一つずつ意識を向ける
  4. 体全体へ意識を向ける

まずは体をリラックスした姿勢に整えます。座っても寝転んでも問題ありません。立つほうがやりやすい場合は立って行いましょう。リラックスした状態で呼吸へ意識を集中させ、自分の息づかいや肺・お腹の動きを確認します。

次に頭からつま先まで、体の各部位へ順番に意識を向けましょう。一度に複数の部位を意識するのではなく、一つずつ確認することが大切です。意識を向ける順番には厳密なルールはありません。頭から足先、足先から頭など、自分がやりやすい順番でスキャンしましょう。

各部位の感覚を感じ終えたら、全身に意識を向けます。リラックスした状態で再度呼吸へ意識を戻し、最後に体を少し動かして周囲へと意識を戻しましょう。

マインドフルネスを行う際のポイント

マインドフルネスを行う際には、以下の4つのポイントを押さえましょう。

  • 目的意識をもつ
  • 呼吸に集中する
  • すぐに効果は出ない
  • やらない方がいい人もいる

ポイントを押さえて実施することで、より自分に合った方法でマインドフルネスを活用できます。それぞれのポイントを見てみましょう。

目的意識をもつ

マインドフルネスを行う際には、目的意識を持ちましょう。明確な目的を持って取り組むと集中しやすくなり、より効果を得やすくなります。以下のような目的を持って行いましょう。

  • 頭の中を整理したい
  • 不安を解消し心を穏やかにしたい
  • 集中力を高めたい

目的を明確にしていないと、マインドフルネスの効果が得られているのかが実感できません。効果が実感できないと継続して取り組むモチベーションが保てなくなってしまいます。モチベーションを維持するためにも、目的意識を持って行いましょう。

呼吸に集中する

マインドフルネスを行う際には、呼吸に集中することも大切です。マインドフルネスの瞑想は何も考えない状態を作るのではなく、今の状態をあるがままに受け入れます。そのため、呼吸に没頭し、その結果として呼吸以外のことを考えない状態を作ることが大切です。

瞑想中に雑念がわいた際には、雑念がわいたことをそのまま受け入れ、呼吸へと意識を向けます。これを繰り返して、呼吸以外のことを考えないで済んでいる状態を作りましょう。

すぐに効果は出ない

マインドフルネスの効果はすぐには出ず、練習を始めてから効果を実感できるまで約2ヶ月かかると言われています。そのため、実践するメリットを感じられるまで根気よく続けることが大切です。

自分に合った実践方法を見つけ、習慣化することで継続しやすくなります。習慣化できればマインドフルネスの実施が生活の一部として無理なく続けられるようになり、効果も実感できるでしょう。数日や数週間で頓挫してしまわないように、負担にならない方法を見つけて実践しましょう。

やらない方がいい人もいる

マインドフルネスはやらない方がいい人もいることに注意しましょう。マインドフルネスの瞑想中に、ネガティブな感情や思考にフォーカスしてしまい、不安感が増して症状が悪化してしまう危険性があります。

たとえば、重度のうつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱えている人は注意が必要です。また、継続できないことで「自分はダメな人間だ」と自己肯定感を下げてしまう可能性がある人にもオススメできません。うつ病やPTSDを抱えている場合は、医師に相談したうえで実践するか否かを決めましょう。

マインドフルネスを導入している企業

マインドフルネスは以下の企業でも導入されています。

  • Google
  • Apple
  • メルカリ
  • Sansan株式会社

それぞれどのように取り入れられているのか、導入事例を紹介します。

Google

マインドフルネスを導入している企業の一つとして、Googleが挙げられます。Googleは2007年から科学的根拠をもとにした独自の研修プログラムとしてS*earch Inside Yourself(サーチ・インサイド・ユアセルフ)(SIY)*を導入しました。これは当時の人材開発部門に所属していたビル・ドウェイン氏が中心となって取り入れた、マインドフルネスも含まれている研修プログラムです。

エンジニアをはじめ、このプログラムに参加した多くの社員が研修の効果を実感しています。特に得られた効果として挙げられているのが、生産性の向上です。ほかにも、ストレスの軽減や感情の制御力の向上、チームワークの向上などが挙げられます。

Apple

Googleと同じくアメリカの大手IT企業であるAppleもマインドフルネスを導入しています。Appleの創始者であるスティーブ・ジョブズも、マインドフルネスが持つ創造性を高める効果に着目していました。

Apple社では技術者にマインドフルネス瞑想の実施を推奨しており、瞑想やヨガの講習を社内で実施しています。また、勤務時間内の30分を瞑想時間に充てることを許可し、社内には瞑想ルームも設置して社員が瞑想できる環境を整えているのも特徴です。

メルカリ

日本最大級のフリマアプリを運営するメルカリも、マインドフルネスを導入している企業の一つです。メルカリでは社内で自発的に部活動を立ち上げる文化があり、その一環としてマインドフルネス部が立ち上げられました。社員が自主的に立ち上げた部活からスタートし、その効果をより社内に広め定着させるために、研修プログラムとしてマインドフルネスが取り入れられたのです。

研修ではプロのコーチを招いた本格的なワークショップを行っており、社員の集中力向上やストレスの低減などの効果が確認されています。

Sansan株式会社

名刺管理ツールで有名なSansan株式会社は、2018年に日本で初めてマインドフルネス研修を導入しました。生産性向上を目的として、Googleで実施されていたSIYを取り入れています。

Sansan株式会社で瞑想に加えて行っているのが、ジャーナリングという取り組みです。2人1組になって与えられたテーマについて浮かんだことを書き出し互いに見せ合います。書き出した内容から、自分でも認識していない価値観に気づくことが狙いです。こうした独自の取り組みを行い、生産性の向上へとつなげています。

マインドフルネスをビジネスに活かそう

マインドフルネスを継続して行うと、ビジネスパーソンに必要な集中力やパフォーマンスの向上が期待できます。雑念をなくして目の前のことに集中する力が身につくため、不安や後悔などによるストレスへの耐性ができ、心身の健康にもつながるでしょう。

マインドフルネスの瞑想はさまざまな実践方法があり、継続して行うには自分にあった方法を選ぶ必要があります。また、すぐに効果が現れるものではないため、無理のないスタイルでコツコツと続けることが大切です。自分にあったスタイルで続けることで、業務効率の改善やパフォーマンスの向上につながるでしょう。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。