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法務の採用が難しい理由とは?求職者が求めていることと対策を解説

栗田 謙人
更新日:2023/10/06

専門性に特化した法務の業務は、なかなか求めるスキルを要する人材に出会えず「採用が難しい」といわれています。「法務人材を採用したいのにうまくいかない」「法務人材を採用するための方法を知りたい」と悩んでいる人事や経営者の方は多いのではないでしょうか。

この記事では、法務人材の採用が難しいといわれている理由を解説し、採用成功のための対策について解説をします。最後まで記事を読んで、法務人材採用に役立ててください。

目次
  • 法務の採用が難しいと言われている3つの理由
    • 理由1:ターゲットが少ない
    • 理由2:法務求職者と条件が合わない
    • 理由3:求職者に求人情報が届いていな
  • 法務採用時のポイント
    • 求める人材を明確にする
    • 知識や経験
    • コミュニケーション能力
  • 法務求職者が企業に求めていること
    • 給料や待遇
    • 仕事へのやりがい
    • 人間関係や所属部署
  • 法務に向いている人の特徴
    • 正義感が強い人
    • コミュニケーション能力が高い人
    • 学び続けられる人
    • 几帳面な人
    • モラル意識が高い人
  • 法務の採用が難しい際の3つの対策
    • 対策1:応募条件を見直す
    • 対策2:採用方法を見直す
    • 対策3:人材紹介サービスを利用する
  • 法務人材の採用に苦戦する要因には、必ず解決策がある

法務の採用が難しいと言われている3つの理由

法務人材の採用が難しいといわれている理由について解説します。

以下で紹介される3つの理由を理解し、今後採用活動に活かしてみてください。

理由1:ターゲットが少ない

労働人口不足が問題視されている現在は、企業が求める年齢層の人材が転職市場で減少してきています。そのため、ターゲットが少なく、採用が難しいといわれている理由の1つとして考えられます。

多くの企業が、労働力を確保するために求人募集をしているのに対し、求職者の数は年々減少しているため、転職市場は求職者に有利な売り手市場になっています。そのため、企業はなかなか求める人材を確保できず、採用が難しくなっています。

加えて、法務のような専門的スキルや知識を要する職種の人材はさらに少なく、法務人材の採用を考えている企業のターゲットが少なく、採用が難しくなっています。

理由2:法務求職者と条件が合わない

法務人材に出会えたとしても、給与や福利厚生など求職者が求める条件に合致していないということも考えられます。

転職を考える人の多くが、次の転職先で重視することに勤務地・仕事内容・休日・年収などがあります。せっかく求職者が求める勤務地や仕事内容を訴求できたとしても、年収が仕事内容が求職者の希望に合っていなければ応募は獲得できません。

仕事内容や年収は、求人票に記載するだけでなく求職者に直接説明することで理解を得られる可能性があります。そのため、求人票だけに頼らず自社が訴求したいポイントは求職者に合わせてコミュニケーションで補うようにしてください。

また、若い世代を中心に「仕事よりプライベート」という意識が広がってきています。そのため、若い世代の採用を考えている場合は、現代の価値観に合わせたプライベートを重視できる環境をアピールするなど、ターゲットに合わせた対策をすることがオススメです。

理由3:求職者に求人情報が届いていな

せっかく求人情報を出しても、求職者に見られなくては意味がありません。

近年、人材紹介サービスや求人広告、ダイレクトスカウトなど採用方法は多様化してきています。同時に、求職者の転職方法も多様化しているため、企業は自社に合う採用方法を適切に選択する必要があります。

自社が利用しやすいという観点だけで採用方法を決めてしまうと、求める人材が利用していないツールだったり、求職者の層が違うなどミスマッチが発生してしまいます。

対策としては、採用したい人材であるターゲット層が転職活動の際よく使う媒体や手段を市場調査することです。

調査をすることで適切な採用方法を見つけ出すことができます。その後、自社の採用ブランディングはできているか、求職者の目に留まるような他社との差別化ができているかなど、内部的な要因を確かめながら、課題の洗い出しをしてみましょう。

法務採用時のポイント

法務人材を採用する際、企業側が気を付けるポイントや準備すべきことについて解説をします。

採用時のポイントを十分に理解することで、効率的に採用活動をすすめられるので、参考にしてみてください。

求める人材を明確にする

採用を失敗させないためには、募集を開始する前に採用したい人物像を必ず設定するようにしてください。

採用したい人物像を設定しないまま募集を開始してしまうと、求めるスキルがなかったり、自社の環境に合わないなどミスマッチが発生します。採用したい人物像を具体的に設定することで、ミスマッチを事前に防げます。

採用したい人物像は、社内で実際に活躍している社員の行動や特徴を分析するのがオススメです。「自社に貢献してくれている人材」と定義づけ分析し、採用した人物像に活かすだけでなく、既存社員に対しても自社が求める行動指針として示せます。

また、現場で働く社員の意見や声を参考にするようにしてください。どの程度のスキルや経験が必要か、現場が求める条件を持ち合わせた人材を採用することが大切です。

知識や経験

法務は、難しい法律の知識が必要です。求職者がどの程度知識を持っているかは採用時に確認すべきポイントです。

求職者の知識レベルは、保有している資格ではかれます。法務であれば、弁護士資格や司法試験短答式合格など、法務関係の資格は多数あります。その他にも、ビジネス実務法務検定など法務業務に活かせる資格はあるので、参考にしてみてください。

また、実務経験も法務人材を採用する際確認すべきポイントです。法務といっても、契約法務・商事法務・知的財産・戦略法務・国際法務など、さまざまです。過去の案件規模やその結果を選考時に確認し、自社が求めているスキルがあるかを確認するようにしましょう。

コミュニケーション能力

法務では、他部署とのコミュニケーションはもちろん、社外の取引先やお客様とのコミュニケーションが求められます。そのため、法務人材にはあらゆる相手に合わせたコミュニケーション能力が重要です。

法務の役割は、トラブルを未然に防ぎ、トラブルが発生した際は迅速な判断で対処することが求められます。トラブルを未然に防ぐには、常に周りの状況を把握したうえで、社内外の人と良好なコミュニケーションをとりながら状況を分析する必要があります。また、トラブル発生時には、問題解決のための交渉力が必要です。

特にトラブル発生時は、互いが納得する結果を導き出せるかどうかが重要であり、法務のコミュニケーション能力にかかっています。 スキルや実績だけでなく、選考時に対面で話した雰囲気も含めて、法務として素質があるか確認をするようにしましょう。

法務求職者が企業に求めていること

せっかく求人募集をしても、求職者が求める条件と合致しなくては応募獲得はできません。

以下では、法務求職者が企業に求めることについて紹介をします。法務求職者が求める条件を把握し、募集条件や働く環境つくりに活かしてみてください。

給料や待遇

法務の業務は専門性が高い業務が多く、難易度が高いです。しかし、業務に対し給料や待遇が少ないという点で、不満を感じている法務求職者は少なくありません。

法務求職者の平均給与は、約600万円です。年収状況で比較した法務求職者は年収400〜699万円の割合が最も多く、続いて399万円以下、700〜999万円、 1000万円以上という順に割合が少なくなっています。そのため、専門性高い業務を行っていても年収が400万〜500万程度の法務人材も多く、年収アップを考えて転職活動をしている法務求職者は多いです。

一般的な全世帯の年収平均が552万円ですが、 法務の業務は専門性が高い業務だからこそ、他の職種に比べると年収平均が若干高いことを認識しておいてください。

仕事へのやりがい

法務求職者が抱える法務業務への本音には、仕事のやりがいに対する悩みが多いです。

  • 企業規模が小さく、法務以外の雑務が多い
  • 扱う法律の幅が狭いため、より幅広い事業をやっている企業に行きたい
  • 英語を使った国際法務をやりたい

法務の業務は、企業規模によって異なるためより大きな仕事をしたいと考える法務人材は転職することで、自身の仕事に対する希望をかなえようと考えます。また、企業によっては、総務部など別の管理部門が人事や法務を兼任している場合があり、どうしても法務以外の雑務に時間を取られがちです。その結果、なかなか法務としての専門性を身につけることができず、キャリアに 不安を感じ転職を検討する求職者が多いです。

人間関係や所属部署

法務は、部署内で仕事ができる業務ではないです。他部署や外部との連携が必要です。 関係各所と連携を取りながら業務を行うことが多く、良好な人間関係構築が求められます。

例えば、契約書の更新の際は営業部門と連携をする必要があります。また、 法改正に対応するためには、実際に足を運んで関係者とのやり取りをする必要があります。

これらは、法務の知識がない相手とのやり取りになるため、法務担当者だけが熱心に行っても、関係者やその他の相手との関係が良くなければ、嫌気がさしてしまうことも珍しくありません。

働くうえで人間関係や所属部署内の関係は重要であり、法務として勤続することに不安を抱えた場合、新たな環境で人間関係をリセットさせたいと考える求職者は少なくありません。

法務に向いている人の特徴

法務人材は、専門性が求められる業務だからこそ、向き不向きが明確に分かれます。

法務人材を採用する際、求職者が法務にふさわしいかをこれから紹介するポイントを踏まえながら確認してみてください。

正義感が強い人

法務は、法律に基づいてトラブルを解決する重要な役目を担います。そのため、何かを解決したい、困っている人の問題解決のために役に立ちたいと日頃から責任感が強い人は法務に向いているといえます。

法務では、企業の信用や従業員を守るためには、社内のどんな不正や粉飾も許さず、正しい判断を下す強い意思が求められます。たとえ企業の不利益になることや上層部の指示であっても、法律に違反する不祥事の隠蔽や売上等の数字改竄などは決して許されません。

法務は法律に基づいて業務を行うため、どんなことがあっても法律に従って業務をこなし、問題を見逃さない強い正義感がある人が向いているといえます。

コミュニケーション能力が高い人

法務業務を行う上で、社内外とのコミュニケーションは欠かせません。

法務担当者は、法務以外の社内部署と連携を取り、トラブルを未然に防ぐために社内の状況把握や法務に関するお知らせを他部署に随時知らせていく必要があります。そのため、他部署とのコミュニケーションは日常茶飯事だと考えておきましょう。

また、社外の人とのやり取りも欠かせません。自社の顧問弁護士など、専門家とのやりとりをする中で、法務の知識を活かしながら適切なコミュニケーションをとる必要があります。反対に、専門的な知識がなく法律についてわからない人を相手に、交渉や法律の説明をしなくてはいけない場合もあり、法務は相手に合わせてコミュニケーションをとる能力が求められます。

専門知識を要する人とは、法務の専門用語や一般知識を応用した会話を行い、詳しくない人に対しては、専門的な知識を噛み砕いて説明できる力が必要です。

また、交渉の際は自社に利益があるように交渉するコミュニケーション能力が必須のため、法務にはコミュニケーション能力がある人材が向いているといえます。

学び続けられる人

法制度は時代の流れに合わせて頻繁に変わっています。法務担当者は、頻繁に変わる法律に対し、常にアンテナ高く情報を吸収していく必要があります。

法務の業務は、専門的な知識が必要です。専門的な知識は、長時間勉強して身につけた結果、実戦で活かせるようになります。学ぶことが苦手な人は、勉強途中で挫折してしまい、法律に関する知識や法務の業務を吸収すできません。

常に学ぶことへの意欲が高く、学生時代に学んだ知識を活かしながら社会人で経験したスキルや、学びをブラッシュアップしながら業務に活かせる人材が法務に向いています。

自己研鑽に時間をさける人材や、自ら学ぶ意欲が高い人材がいれば、法務としての適性があると判断しても問題ないといえるでしょう。

几帳面な人

物事の詳細を隅々まで確認できる人は法務の適性があるといえます。

法務の業務では、細かく書かれている契約書を確認する機会が多いです。その際に、一言一句自社にとって不利益な内容がないか法務担当者は確認する必要があります。不利益な内容を見落としてしまうと、自社の経営に大きなリスクを与えてしまう可能性があります。そのため、細かな文言にも気を配れる几帳面な人は、法務の仕事に必要不可欠です。

几帳面な人は、事前準備や事前の確認を必ずする習慣があるため、ミスも少ないです。法務に限らず、ミスが少ない人は効率的に業務をこなせ、企業で活躍をしてくれる人材です。

几帳面な人材は、法務の適性があるといっても過言ではないので、参考にしてみてください。

モラル意識が高い人

正義感が強い人と同様、モラル意識が強い人も法務に向いています。

法律に違反した行動は、企業経営において絶対に許されません。また、従業員の違反行動は企業のイメージダウンにつながるため、法務は絶対に見逃さないよう、常に強い意識をもって注意する必要があります。モラルに対する意識が低いと注意力がおろそかになってしまい、トラブルにつながりかねません。

そういった意味でも、法務はモラルへの意識が高い人が向いているといえます。

モラルへの意識を高く持つことで、トラブルを未然に防げます。道徳・倫理外のことも、モラルへの意識があれば引き起こす可能性が少ないです。そのため、法律に対する関心やモラル、責任感が強い人は法務に向いているといえます。

法務の採用が難しい際の3つの対策

採用がうまくいかない場合は、必ず原因があります。

以下では、法務人材の採用が難しいと感じた際に実践すべき3つの対策について解説をします。人材獲得に苦戦している企業の方は参考にしてみてください。

対策1:応募条件を見直す

採用条件が厳しすぎないか確認してみてください。

企業が優秀な人材を獲得したいのはもちろんですが、優秀だからこそ高い条件ばかりを設定してしまうと、その条件を満たす人材が現れずになかなか人材獲得をすることができません。仮に、すべての条件を満たす優秀な人材がいたとしても、その人材が自社を選んでくれるのかという課題もあります問題があります。

そのため、優秀な人材を求めすぎて厳しい条件を出していないか、再度確認をしてみましょう。採用条件が厳しすぎては、いつになっても応募を獲得できず、採用活動が長期化してしまいます。

少し採用条件を下げて人材を獲得し、社内で育てていく企業も最近では多いので、教育体制を整えるなど、受け入れ環境の改善なども検討してみてください。

対策2:採用方法を見直す

採用手法には、ハローワーク・求人誌・転職フェアやイベント・求人サイト・転職エージェント・スカウト配信など、さまざまです。

まずは、これらの採用手法の特徴を理解し、自社に合う採用手法を利用することが大切です。「費用がかからないから」「流行っているから」という理由で、採用手法を決めてしまうと、応募獲得ができないケースが多々あります。どうすれば応募獲得ができるかは、採用手法の特徴を理解したうえで、自社が求める人材はどの経路から応募に来るか考え採用手法を考えるようにしてください。

もし、現時点でなかなか応募が集まらないと考えている企業は、採用手法を見直すことから始めてください。どの手法であれば確実に採用できるということはありません。ただ、自社の採用課題や求める人材に合った手法を選定することで、必ず今よりも応募を獲得することができます。

何個か手法を試してみることで、自社に合った採用手法を見つけ出すことで人材獲得につながります。

対策3:人材紹介サービスを利用する

人材初紹介サービスを利用していない企業は、人材紹介サービスを利用してみてください。

人材紹介サービスは、自社の希望をエージェントに伝えればその条件に合った人材を紹介してくれます。これまで、採用担当者が頑張って母集団形成のために準備や企画していた時間を省くことができ、さらに自社が求める人材にスピーディーに出会うことができます。そのため、人材紹介会社を利用することで、効率的に採用活動を進めることができます。

人材紹介サービスには、専門性に特化したものや総合タイプ、ハイクラスの人材を扱っている場合や第二新卒を対象にしている場合などさまざまです。

WARC AGENTは、ハイクラス人材に特化した人材紹介サービスを提供しています。専門知識を持った優秀な法務人材の獲得のために、徹底的な採用活動の支援をしてくれます。

サービスによって内容の強みや特徴を理解したうえで、自社に合う人材紹介サービスを利用するようにしてください。

法務人材の採用に苦戦する要因には、必ず解決策がある

いくつかの対策を紹介しましたが、自社だけではどうにもできないと悩んでいる企業は、まずは人材紹介サービスを利用してみてください。採用支援のプロが、各企業に合ったアピール方法や採用活動の方法を提案・サポートしてくれます。

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優秀な法務人材獲得のためにWARC AGENTを利用し、人材獲得につなげてください。

株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。