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経理の業務内容一覧を紹介|必要なスキルと取得すべき資格も解説

栗田 謙人
更新日:2023/10/17

「経理に興味があるけれど、どんな業務内容なのか知りたい」「転職を考える際にどんな資格があれば有利なのか知りたい」。経理へ転職を考えるとき、経理の業務内容や必要なスキルはどんなものなのか詳しく知る必要があります。

この記事では、経理の業務内容や必要なスキル、取得するべき資格について詳しく解説します。

目次
  • 経理の役割とは?
    • 経理と会計の違い
    • 経理と財務の違い
  • 経理の業務サイクルと業務内容一覧
    • 日常業務
    • 月次業務
    • 年次業務
  • 会社の規模による経理の業務内容の違い
    • 大企業の経理業務
    • 中小企業の経理業務
    • 外資系企業の経理業務
  • 業種による経理の業務内容の違い
    • 製造業
    • 金融業
    • 不動産業
    • 小売業
  • 経理に求められるスキル
    • 簿記の知識
    • パソコンスキル
    • マネジメント能力
  • 経理になるために役立つ資格6選
    • 1.日商簿記(2級以上推奨)
    • 2.ビジネス会計検定(2級以上推奨)
    • 3.FP(2級以上推奨)
    • 4.給与計算実務能力検定
    • 5.FASS(検定経理・財務スキル検定)
    • 6.BATIC(国際会計検定)
  • 経理の業務内容を理解して転職へのステップアップに活かそう
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経理の役割とは?

経理とは、一言でいうと「企業活動で発生するお金の出入りを管理」する仕事です。バックオフィス業務の一つであり、会社経営を後方から支える重要な役割を担っています。

会社は企業活動の中で、売上や仕入れ、売掛金や買掛金、従業員の給与計算や交通費精算、資産の売却や購入などのさまざまなお金を動かしています。そのお金の出入りを記録して数値化し、管理を行うのが経理の仕事です。経理は、日々のお金の流れを管理するだけでなく、記録・管理された数字をもとに、経営層が行う意思決定をサポートするための情報提供を行うことも大切な業務となっています。

経理と会計の違い

会計とは、会社全体のお金の流れを記録し、ステークホルダーに報告することです。ステークホルダーとは、会社の経営者や従業員のほか、株主、金融機関、取引先、行政機関、各種団体など企業のあらゆる利害関係者を指す言葉です。

会計には「管理会計」と「財務会計」の2つの役割があります。「管理会計」とは、経営者や役員など会社の内部の人に会計情報を提供します。「財務会計」とは、株主や債権者など企業外部の人に会計情報を提供することをいいます。

いずれも両者の目的は、決算書によって会計報告を行うことです。会計報告をするためには、経理の管理する帳簿書類が必要になるため、経理は会計の一つとも言え、企業によっては経理と会計を明確に分けていないところもあります。

経理と財務の違い

経理は会社内で動いたお金の流れをまとめて記録をしていくのに対し、財務は会社の予算を作成し、金融機関からの借入れや株式発行による資金調達などを行うのが主な仕事です。

経理はすでに動いた過去の取引を記録する業務ですが、財務はこれから動く未来の取引を扱います。財務はより経営者に近い立場ですが、経理とも密接に関わっており、経理が記録・作成した帳票をもとに資金運用を企画します。

会社によっては財務部門として経理と分けているところや、中小企業などでは経営者が財務業務を担当していたりします。

経理の業務サイクルと業務内容一覧

経理の仕事は、日々のお金の動きを管理し、経営判断に必要な決算資料を作成します。経理の業務は多岐にわたり、企業の経理部門は会社経営になくてはならない重要な部門です。経理の具体的な業務内容は日常業務・月次業務・年次業務の3つとなっています。

日常業務

経理の主な日常業務は以下のとおりです。

  • 現金の出納管理
  • 伝票の起票・整理
  • 従業員の立替経費精算
  • 受注・出荷・売上の計上
  • 棚卸資産の受払処理の確認
  • 取引先の新規登録・信用分析

日常業務は毎日起こる会計取引を帳簿に記録することが主になります。事業の規模や業種によって毎日発生しない業務も含まれますが、日々のお金の流れを正確に把握することは、後ほどの月次業務、年次業務と密接に繋がっています。

毎日の業務は地味で単調ではありますが、ミスなく業務を進めていくことが会社の信用を形成することに繋がります。

月次業務

経理の主な月次業務は以下のとおりです。

期間 業務内容
上旬
  • 取引先からの入金管理
  • 月次決算
  • 在庫の確認・棚卸
中旬
  • 源泉所得税の納付(毎月10日)
下旬
  • 給与計算・支給
  • 請求書発行
  • 取引先への支払い
  • 社会保険料の納付

月義業務は、取引先への請求・回収、従業員の給料支払い、取引先への支払い業務が主な仕事です。一般的に、締日を設けて、まとめて集計・処理を行い、月末、月初は繁忙期となり忙しくなる傾向です。取引の内容を記帳するだけでなく、貸借対照表に示される残高の状況を把握することで財務諸表を適切な状況にします。

月ごとの帳簿の整理を確実に行うことで、年決算をより正確に行えるようにすることが重要になってきます。

年次業務

経理の年次業務は以下のとおりです。

業務内容
4月
  • 年次決算(決算整理)
5月
  • 年次決算(開示資料作成)
6月
  • 税務申告
  • 株主総会
7月
  • 賞与計算、支払業務
  • 労働保険の年度更新
  • 社会保険料の算定基礎届提出
8月
9月
10月
11月
  • 中間税務報告
12月
  • 賞与計算、支払業務
  • 年末調整
1月
  • 給与支払報告書の提出
  • 償却資産申告書の提出
  • 法定調書の提出
2月
  • 予算の立案
3月
  • 年次決算
  • 実地棚卸

年次業務で最も重要な業務は「年次決算」です。年次決算は1年間の帳簿を確定する業務であり、作成した帳簿をとりまとめて外部報告するための決算書類を作成します。企業の規模に関わらず1年に1度決算を行い、決算書を作成することが全ての企業に義務付けられています。

年次決算はさらに正確性が求められます。なぜなら、年次決算のよって法人税の納税額が決まり、次年度の資金調達方法や経営戦略が立案されるからです。間違った年次決算は企業の価値や信用を失墜させることに繋がるため、絶対に虚偽の報告や記入は許されません。

会社の規模による経理の業務内容の違い

会社における経理の役割は、お金の流れを把握し管理を行うことであり、会社の規模によって変わりはありません。しかし、業務内容は企業の規模によって内容が異なります。大企業・中小企業・外資系企業による業務内容の違いについてそれぞれ解説します。

大企業の経理業務

大企業の経理業務は仕事量が多く、業務範囲も広いため、たくさんの人員を配置しています。受け持つ業務も、一人ひとりが特定の範囲のみをおこなう分業制を取っており、より専門性の高い知識が求められます。

大企業では、税務申告や税計算も企業内で行っていることがほとんどで、社内に税理士や会計士といった資格を持っている人材がいる企業もあります。また、経理部として独立した部門が存在し、資金調達や資金繰りなどを管轄する財務部と明確に分かれている場合が多いです。

中小企業の経理業務

中小企業の経理は、現預金の管理や仕訳作成、経費精算、支払い業務などといった基本的な業務は大企業と共通しています。しかし、中小企業は大企業と比べて業務内容が多岐にわたります。

なぜなら、中小企業は人数が少なく、経理全般を任されることが多いからです。中には1人経理といったこともあり、その場合は経理だけでなく、総務や人事などを兼任することもあります。

また、経営者層と直接的なコミュニケーションを取る機会があるため、経営者から経営戦略について相談を受けることもあるでしょう。その時は、予算策定や経費管理、財務分析、投資分析なども担当します。中小企業では経理全般をこなすオールラウンダーとしての役割を求められるでしょう。

外資系企業の経理業務

外資系企業の経理は、基本的には国内企業と変わりありませんが、違う点が主に3つあります。

1つ目は、会計基準の違いです。外資系企業の場合、本国の会計基準に従って会計報告書類を作成します。それぞれの国の会計基準を理解し、国内の会計基準との違いを理解しておく必要があります。

2つ目は、通貨の違いです。国内企業では円表示が基本ですが、外資系企業の場合、本国の通貨に換算します。為替差損益の処理をする時は、為替レートをチェックし、為替リスクについて把握しておく必要があります。

3つ目は、決算期の違いです。国内企業では年に1回の決算業務を行いますが、外資系企業では本国の親会社が決めている決算期に従う必要があります。日本の決算期と違う場合は、本国の親会社の決算期に合わせて、国内の子会社でも仮決算を行うなどして対処します。

業種による経理の業務内容の違い

経理の基礎的な知識はどの業種にも共通していますが、業種によって業務内容が異なってくることがあります。業種によっては新たな知識や経験が求められることもあります。ここでは、業種による経理の業務内容の違いについて解説します。

製造業

製造業とは、仕入れた原材料を工場で加工し、製造した製品を販売することで収益を得る産業のことです。製造業における経理の特徴は、工業簿記の知識が必要になる点です。工業簿記とは、材料の仕入れ、製造、販売までの過程を表した簿記のことをいいます。

また、製造業の経理では、製造にかかるコストを管理する原価計算が発生します。原価計算とは製品を製造するのにかかった原価を計算することです。この原価は、材料費だけではなく、製品を製造するときにかかった労務費や経費も原価に含めます。製造業の経理は、1つの製品ができあがるまでにかかった費用を細かく分けて原価を計算するため、より専門的な知識が必要です。

金融業

金融業とは、お金を必要としている人や企業に対して利息付きでお金を貸し出す仕事のことです。この仕事を行っているのが金融機関であり、銀行や証券会社などを指します。金融業における経理の特徴は、ほかの経理業務と大きな差はありませんが、お金を商品として扱っている業界であるため、管理項目が多くチェックが厳しいと言えます。

なぜなら、銀行などが経営難になれば会社だけでなく日本経済にも影響を及ぼすことがあるため、金融業に対する基準は厳しくチェックされているからです。また、不正防止のために公認会計士による監査を行うことが義務づけられています。

不動産業

不動産業とは、土地や建物の売買や、不動産の賃貸から利益を得ている業界のことです。不動産業の経理の特徴は、在庫の計上等に細心の注意を払う必要があります。なぜなら、不動産は取引額が大きく、処理を間違ってしまうと企業の損益に多大な影響を与えてしまうからです。

また、不動産業でも開発を行っている大手企業は、プロジェクトを何年もかけて行うことがあるため、会計処理も年度をまたいだ処理が行われることもあります。一方で規模の小さな企業では、契約に関する書類チェックや入出金の確認が必要な場合があり、宅建主任者が経理を兼ねることもあります。

小売業

小売業とは、卸売業者から商品を仕入れ、消費者へ販売する事業のことをいいます。たとえば、スーパーやコンビニ、ドラッグストア、家電量販店、百貨店など、普段から私たちが生活していく上で必要な物を手に入れるために身近な存在です。

小売業の経理の特徴は、商品数や種類をたくさん扱うため、煩雑な作業になります。主な業務は仕入れと販売にかかる入出金の管理であり、日々取引や売買が発生するため、売上や仕入、買掛金などを毎日計上します。

経理に求められるスキル

経理は専門的な知識が必要となる職種ですが、経理として働く際に求められるスキルはどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説します。

簿記の知識

簿記は日々の経理業務で基礎的な知識であり、伝票の処理や管理、整理をするのに使用します。どの企業で働く際でも、簿記の考え方や概念は共通しているため、簿記の知識は必ずと言っていいほど必要になってきます。

経理は専門職であり、また、大企業では正確な会計処理を求められるため、より高度になってくるでしょう。経理の職に就く場合は、日商簿記2級程度の知識は最低限身につけておきたいところです。

パソコンスキル

経理だけではなく、事務業務を行うバックオフィスではパソコンのスキルが必須になります。パソコンスキルとは、文字の入力やメールの送受信だけでなく、Word、Excel、PowerPointといったOfficeソフトの基本操作全般のことをいいます。

経理では日々の業務はExcelや会計ソフトを使って行う業務がほとんどです。また、決算報告書や財務諸表、税務申告書などの資料作成を行うこともあります。Officeソフトの使用方法や便利な操作方法は書籍やインターネットで情報を得ることができるため、習得はそれほど難しくありません。

マネジメント能力

経理ではマネジメント能力を持った人は特に重宝されます。マネジメント能力とは、一言でいうと「管理する能力」であり、管理職や経営者層に求められるスキルの一つです。

企業はマネジメント能力をとおして、業績の向上や目標達成を目指しているため、特に管理職は会社のリーダーとして会社に貢献してくれる人を求めています。マネジメント経験がある場合は、転職の際のアピールにもなります。

経理になるために役立つ資格6選

資格を持っていると転職に有利になると考える人も少なくないでしょう。確かに資格を持っていれば、専門的な知識の証明となり、企業へのアピールに繋がります。では、経理になるために役立つ資格にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的な6つの資格をご紹介します。

1.日商簿記(2級以上推奨)

日商簿記は、日本商工会議所と各地の商工会議所が実施しており、簿記検定の中では国内で最も知名度が高い試験です。経理職における中途採用の募集では、「日商簿記●級以上」と日商簿記を必須資格としている企業も珍しくないほど、経理職の代表的な資格です。

簿記を理解しておくと、お金の動きや会社の経営について理解を深められます。また、経理部門だけでなく、一社会人として簿記を取得しておくことは、キャリアアップや就職、転職でも有利に働きます。

2.ビジネス会計検定(2級以上推奨)

ビジネス会計検定試験は、財務諸表に関する知識や分析力を問い、財務諸表が示す数値を理解し、ビジネスに役立てていくための試験です。簿記検定との違いですが、簿記検定は日々の取引を元に仕訳を行い、財務諸表を作成するスキルを問う試験です。

これに対して、ビジネス会計検定は、簿記のスキルを元に作られた財務諸表を分析するスキルを問う試験です。財務諸表の作成や読解力が身につき、企業状況を分析できるようになることで、さまざまなビジネスシーンで役立ち、就職や転職、キャリアアップに結びつけることができます。

3.FP(2級以上推奨)

ファイナンシャルプランナーは、税金、投資、住宅ローン、不動産、教育、老後、相続など、生活に関わるお金の知識を備え、相談者のライフプランの設計を行うお金の専門家です。

FP技能検定は、相談者の資産に応じた貯蓄・投資等のプランの立案、相談に必要な技能を問う試験です。FP資格を取得することで、金融機関・不動産会社・保険会社・住宅メーカーなどの業界で役立てることができます。

4.給与計算実務能力検定

給与計算実務能力検定とは、給与計算に関する知識と実務能力を測る検定試験です。給与計算とそれに関する各種手続きに関する知識を体系的に身につけることができます。

給与計算は経理に欠かせない重要な業務です。従業員の給料は生活を支えるものであり、間違いがあってはなりません。給与計算の実務に携わっている方はもちろん、これから経理の職に就こうと考えている人にもおすすめの資格です。

5.FASS(検定経理・財務スキル検定)

FASS検定は経済産業省の委託を受けた日本CFO協会が開発し、2005年から実施されている比較的新しい検定試験です。「経理・財務サービス・スキルスタンダード普及促進モデル事業」の一環で、経理や財務部門で必要なスキルがどれくらい備わっているかを見ます。

試験の内容は、資産・決算・税務・資金の4分野から出題され、より実践に必要な内容となっています。近年では企業から信頼性の高い検定として注目され、転職する際にも役立つ資格となっています。

参考:FASS検定(経理・財務スキル検定)とは?概要やメリット、転職での活かし方

6.BATIC(国際会計検定)

BATICとは、商工会議所が主催する英語での会計処理能力を測る検定試験です。日商簿記検定の英語版といったところです。結果は合格・不合格で決まるのではなく、TOEICのように1000満点のスコア制となっています。

近年、BATICはIFRS(国際会計基準)の適用を考えている場合や、在外子会社がIFRSを適用している場合など、多くの企業から注目を集めている検定試験です。BATICで高スコアを取れば、会計スキルと英語スキルの証明となり、外資系企業といったグローバル企業への転職への可能性が広がります。

経理の業務内容を理解して転職へのステップアップに活かそう

経理の業務内容や必要なスキル、取得すべき資格について解説しました。経理は、日常・月次・年次と1年間をとおしてお金の動きを管理していく仕事です。定型的な業務が多く、単調な作業が多いと思われがちですが、記録・管理した数字をもとに、会社の経営状況を多角的な視点で捉えて行うことで会社全体を見渡すことができます。経理の仕事を通して自身の経験を深め、より一層キャリアアップをしていってください。

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株式会社WARC HRtech CSマネージャー 栗田 謙人

2021年にSYNCAのカスタマーサクセスとしてWARCにジョイン。コーポレート領域に特化し、求職者の転職支援から企業の採用支援の双方に従事し、BizDevとしても機能の企画立案などに携わる。